劇場公開日 2023年2月4日

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「高齢者の性を描くことで、若者の生を浮き彫りにする」茶飲友達 二ノ前さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0高齢者の性を描くことで、若者の生を浮き彫りにする

2023年10月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

茶飲友達の紹介と題してコールガールを斡旋する高齢者風俗を営む若者と、そこで働く女性、そしてお客さんとの繋がりを描く。

高齢者の性に興味があって、軽いノリで見ようと思ってるそこのあなた。

想像を絶する展開で、吐き気がする程胸糞悪いから安易に手を出さない方がいいと思う。
私は既に「子宮に沈める」以来の引きずり方してますwwww

見ない方がいいわけじゃない。すごく元気つけられるシーンもあるし私は後悔していない。

ただ、色々な方向から裏切られ一人ぼっちにされた気分なんだよ。

これがまさに高齢者、若者の抱える孤独の重みなのかもしれない。

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高齢者の性。なるべく目を背けたいテーマであり、どこかタブー視された問題に切り込んだ作品でもあるんですが、その反面、現代を生きる若者の生活も浮き彫りになる社会派な映画だった。

妻に先立たれ生きる目標もなく孤独に生きる高齢者に”茶飲み友達”を紹介し、ひと時の安らぎと快楽を与える。

彼女たちはそれを”ホームヘルパー”ないしは”人助け”と呼ぶ。

確かに作品に登場するお客さんで不幸になっている人なんてひとりもいない。
風俗嬢も必要とされる喜びと、有り余る大金を手に入れる。

そんな高齢者の新たな幸せを描く光があれば、若者のくすぶる闇もあるのがこの映画。

夢は?、子どもは?、家族は?
人助けと言う名のマスターベーションで課題を見てみぬふりする感じがリアル。

家族とのつながりが希薄になってきた我々には、仲間という新たなファミリーがあって
それを作り上げようとしたひとりの女の子の話なんだよね…

でも完成したのはバベルの塔であり、それがあまりに浅はかで、脆くい。

現代における家族が何なのか、その儚さと残酷さまでが詰まりに詰まった映画。
135分は長いようで、あまりにもこのテーマを扱うには短すぎる。

映画の冒頭とラストのシーンが、彼女の信じた正義へのアンサーだよ。

二ノ前