劇場公開日 2021年12月24日

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「シュワちゃんなら笑える筋立ても、なんでファン・ジョンミンだとここまで血みどろになるのか、と訝しみつつ楽しむ一作。」ただ悪より救いたまえ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シュワちゃんなら笑える筋立ても、なんでファン・ジョンミンだとここまで血みどろになるのか、と訝しみつつ楽しむ一作。

2022年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

タイトルから連想するような、苦難に対しておとなしく救いを求める要素などまるでなく、邪魔な存在は容赦なく殺戮していくという、手榴弾多めの物語。悪の組織に捕まった娘の救助に向かう殺人マシーン親父という話そのものは、『コマンドー』(1985)をはじめとした多くの先行作品がすでにあり、要するに使い古された設定であるんだけど、シュワルツェネッガーなら殺しの場面も思わず笑ってしまえるのに、なんで本作だとここまで血みどろになっちゃうのか。

娘の救助にまっすぐ向かうのかと思いきや、ファン・ジョンミン演じる暗殺者を追うヤクザ、レイが登場したことで事態は一気に複雑化、過激化していくという、サービス精神豊富といえばそうなんだけど、こんな方向性でその精神を発揮してもよいのかな。故・深作欣二監督なら絶対喜んでただろうなー、と妄想。意外にウェットだし。

ファン・ジョンミンに立ちはだかるイ・ジョンジェ演じるレイの凶悪ぶりは尋常じゃなく、「こいつにだけは絶対殺されたくない…」と誰もが心底震え上がるであろう所業にはめまいすらしました。暴力と爆発を売り物にしている本作でも、さすがにレイの凶悪さを克明に描写することにはためらいがあったのか、具体的に彼が何をしたのかについては、割愛。ある程度暴力描写を楽しみにしていた観客も、この省略にはほっとしたことでしょう。『孤狼の血 LEVEL2』の鈴木亮平も相当な狂いっぷりだったけど、本作のレイの恐ろしさはちょっと段違いでした。

最初から最後まで息もつかせぬ迫力で大満足なんだけど、途中で登場した「あいつ」は野放しでいいんかい…、と思ってしまいました。ある意味本作で最も極悪なやつなのに。この点だけ引っかかりが。

yui