パラレル・マザーズのレビュー・感想・評価
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相似形
子供の取り違えから始まるサスペンスに時々挟まれる、スペイン内戦で連れ去られて帰らなかった父親たちの挿話。
最初は違和感だったが、なんならそちらの話から始まっており、どうやらそちらが本線な様子。
そう思って観てみると、なるほど連れ去られたまま帰らなかった父親は、取り違えて連れて行かれたまま戻らなかった子供と相似形ではないか。そうしてみると何故彼女たちがどうしても遺骨を発掘しなくてはならないのかが説得力を持って感じられる。ラストの宙ぶらりんさも含め、これがリアルな現実なのかとしれない。
PARADOX
子供の取り違えと言うと「そして父になる」が一番最初に浮かんだんですが、その作品はかなり成長してから子供の取り違えが発覚した作品で、今作はまだまだ小さい頃に分かるという差別点がありました。
相変わらず病院は何やってんだ?という些細なツッコミ点は置いておいて、主人公2人のすれ違いが中盤までは描かれます。小さな変化で気づいた血のつながり、親との関係性、友達以上の関係性、様々な時代の考えが少ない登場人物に詰め込まれていると思いました。主演2人の演技力も素晴らしかったです。
終盤にかかると、そこまでに度々描かれていた考古学やら血筋やらが強く結びつき、最終的にこの映画どんな作品だったっけ?と思えるものになってしまいました。監督の伝えたかったメッセージは何となく伝わってきましたが、わざわざ物語に絡める必要性、この作品に交える意味はあったのか?と疑問符がつく終わり方もモヤモヤしました。
期待値高めだっただけに肩透かしでしたが、前半はなかなか良かったので、期待は薄めで観に行くことをお勧めします。
鑑賞日 11/8
鑑賞時間 12:45〜14:55
座席 F-1
内戦のあとしまつ
赤ちゃんの取り違え。日本映画だったら(日本とも限らないか)事件になって~やいのやいのなんだろうが、内戦で殺された曾祖父の遺骨を掘りあて供養するような、壮大なテーマまで広がってしまった!3人の女性らの母になる哲学的過程で時間を忘れるような展開で、とっ散らかった感がいなめない。
頭フル回転の2時間、血の繋がりは最強なのだろうか?
様々な要素がてんこ盛りの濃密な作品だと感じた。
予告編に印象操作されてはいけない典型の作品ですね。
印象的だったのはジャニス(ペネロペ・クルス)が子供を手渡すことになる場面でバッグを持つシーン、一気にメイドさんのような寂しい姿になってしまったところでした。
あまり接触がない、本作で言えばご先祖様たちとかならば血の繋がりが大事であって、なんとか一族の元へ葬ってあげたいと強く思うことは当然だなと思うのだけれど「親子」や「きょうだい」として密接な関係で生活をしていたとするなら、そこでは血と実際の生活、どちらが勝るものなのだろう。
うーん、悩んでしまうなぁ。
せめて、この作品だけを考えるなら、将来に渡ってみんなが良い関係でありますようにと願ってしまう自分がいた。
歴史の知識があればもう少し最初から没入できたのかもしれないが、色々と考えさせてくれた良い作品でした。
ペネロペ・クルスは綺麗で素敵だった。でも、話は、先祖と歴史の後半の...
ペネロペ・クルスは綺麗で素敵だった。でも、話は、先祖と歴史の後半の話が描きたかったのかいまいちわからないメロドラマ。赤ちゃんを巡るサスペンスの緊張感はうまいけど、後半、腰折れ。
主人公に共感できず、テーマにも納得できない
自分の子供が、自分とは血が繋がっていないと分かったら、真っ先に産院に連絡して、事実関係を確認するのではないだろうか?いくら、今育てている赤ん坊に情がわいて、可愛いと思っていたとしても、そのこととは別に、自分の本当の子供を探し出そうとするのではないだろうか?
それなのに、誰にも真実を告げずに、自分一人で他人の子供を育てて行こうとする主人公の心情が、まず理解できない。
さらに、そうした固い決意をもって子供を育てていたはずなのに、本当の母親が我が子を亡くして落ち込んでいるわけでもなく、主人公が隠しごとをして悩んでいるふうでもないのに、なぜ、あのタイミングで真実を打ち明けたのかもよく分からない。
主人公と若い母親が、ああいう関係になってしまうことにも驚くが、あれでは、子供への愛よりも、その母親への愛が方が優っているように見えるし、もしかしたら、恋人との新生活のために、子供を本当の親に返したのではないかとさえ勘ぐりたくなる。
かと思えば、スペイン内戦での犠牲者の遺骨発掘の話になるが、それまでの子供の取り違えや男女のパートナーの話とは、どうにもしっくりとは繋がらず、違和感を覚えてしまった。
主人公に対する共感の感じにくさと、テーマのチグハグ感が引っ掛かって、最後まで物語に入り込むことができなかった。
スペインの歴史と二人の母親の葛藤から、人としての在り方を考えさせて...
スペインの歴史と二人の母親の葛藤から、人としての在り方を考えさせてくれる
子供を取り違えたっていうのは現実には冗談じゃない話しだけど、映画全体のトーンからしたらちょっとした面白いアクセントのように感じた
自分の子供がすでに亡くなっていて本来入るはずのないお墓に入っているシーンと内戦で亡くなった方が今もちゃんと埋葬されていないってところに共通点のようなものを感じた
パンフとレビュー見て考え直す部分が多すぎた...
監督やキャストにスペイン出身の方が多いようなので特別思いがあるのかな
スペインはサグラダファミリア、フラメンコを始め、情熱や芸術的なイメージしかわかなかったけど、内戦の傷跡の側面を知ることができたのが良かった
つまらなくはないが…
まず宣伝の仕方が間違ってるように思う。
予告だとシングルマザーたちの運命の話がメインに感じたけど、しょっぱなそうじゃないとすぐにわかった。
内戦で亡くなった先祖との絆の方がメインだった。
おそらく家族の絆というテーマで両方が上手く交差して〜…なかったので、いやしてるのか?自分にはしてる様に感じなかったので、あ、そうですかって感じの印象で終わりました。
10本分の映画のネタを1本に纏める凄まじさ
観終えた後、かなりの疲労感と達成感にやられました。なんと言うか、目の前でクワッドアクセルを決められた時みたいな感覚です。うまいこと言えませんが、それくらいの衝撃です。
なぜなら今作には非常に多くのテーマがあって、ざっと覚えてるだけでも
↓
望まれていなかった妊娠
シングルマザー
赤ん坊の取り違え
内戦の惨禍で虐げられた人々
LGBTQ
アイルランド関係…については、ちとわかりませんが
子どもを抱える女性の社会進出の難しさなどの課題も含めると、ざっと10課題ほどのテーマが拾える今作。
本来であればひとつひとつを別の映画にしてしかるべきところを、えいやと纏めてしまったのがこの作品です。
なので、映画監督を生業としている方が観たら、多分頭を抱えてしまわれるのではないかと。
いや、ほんとによく纏められた。さすが旧知の名優&名監督コンビと言うか。ペネロペ・クルスとアルモドバル監督という、何度も作品を重ねてきた2人だからこそ成し得た偉業でしょう。他の俳優と監督なら、多分主題が多すぎて空中分解してたと思います。
なお、全然主題とは関係ないでしょうが、個人的にはラストのある場面での描写がとても気になりました。過去付き合っていた人間と現在付き合っている人間が同じ空間にいるという。
現夫はわかってんのかな……?
ま、いいか。
日常としての悲劇
2つの事柄が同時に進行する感じなので、最初は戸惑ったけど。。
当たり前のように過去も、現在も処理していく。。
どちらも、かなりシリアスで堪えようのない事なのに。。
少しの怒りを表すだけで、又普通の日常に戻っていく。。
ラストシーンが美しく感じてはいけないのに。。ね。
内戦後の寓話や神話のような
タイトルの示す子どもの取り違え・入れ替わりっていうのは、実は二次的要素だと思いました。
内戦で虐殺された曾祖父ら村人たちの遺体を回収して弔えるかどうか、それにより自己のアイデンティティがどこにあるのかを常に考えて生きるのか、というのが主軸だったかと。
そんな出来事を通じて「家族」とは何かを描くような作品でした。
1930年代のスペイン内戦の歴史をベースに、理不尽極まりない状況を冷静に考え、
「歴史を受け止めること」
「間違えた他人を責めないこと」
「当事者意識をもつこと」
「嘘をつかないこと」
「自分に出来うる誠意ある生き方をすること」
「母から子へ愛は受け伝えていくこと」
などを実践する主人公ジャニス(ペネロペ・クルス)の眼を、観客がいかに受け止めるのかを試されている気がしました。
戦争のあとに人はどう生きるのか、という寓話というか新しい神話みたいな重みを持たせていて。
平和な日本人にはピンとこないですが、内戦や侵略に晒された国々では響くものがあるんじゃないかと。
だから、エンタメ文法の「物語」「キャラクター」からは真逆に行く作品でもありました。
子どもの取り違えにまつわる二人の女性の悲喜劇を期待して観にいくと、あっけに取られて、結構欲求不満のもやもやのまま終わる感じなので要注意。
「え?そんな簡単に解決しちゃうの?」とか「え?そんな放りっぱなしで中途半端なままなの?」とかいうことがいくつもあります。
その点では、本作の宣伝は誠実ではなく、嘘ばかりだったようで、そこが皮肉めいて面白かったです。
いろいろな考え方がある良作。まよったらおすすめ。
今年320本目(合計595本目/今月(2022年11月度)7本目)。
序盤こそ、「自分が生んだ子、本物かな?」といった、ミステリー要素がどんどん出てきますが、オープニングでそれと無関係にスペイン内戦の話も出てきて、いわゆる「お飾り」で出てきたのかな、と思えば、実は映画全体の理解としてこの「スペイン内戦」がテーマでした、というお話です。
ただ、それは全体の話であって、特に「子育てパート」の部分に切り離してみることも可能で(なお、スペイン内戦に関してはそれほど深い知識は要求されず、前日にぐぐっておく程度でも違います)、その場合、その「子育てパート」では男性は大半出てこないので、女性どうしの連帯もの(いわゆるシスターフッド系。2021年度の「プリテンダーズ」等)まで感じました。フェミニスト思想を感じるTシャツを着ている子(この映画、主人公を1人には決められないと思いますが)が出るなどです。「私たちは男性女性関係なくフェミニスト」という趣旨のTシャツですね。「男性女性関係なく、配慮すべき点・合理的な範囲で女性を理解する」という考え方であり、この考え方は私も賛同できます。
さて、生まれてきた女の子(セシリアちゃん)に隠されていた秘密、さらにその奥に隠されている「スペイン内戦に関する当事者の思い」とは何か…。ここからははネタバレですね。ぜひ映画館で見てほしいな、と思います。パンフレットも結構良心的で詳しく書かれていましたしね。
スペインというと、たとえば闘牛があったり発音に人気のあるスペイン語などなど魅力も多いですが、スペインは「スペイン内戦」という自国の負の遺産があります。その遺産を決して忘れることなく、そして次の世代へとつなげ…というスペインの考え方(この映画はスペイン映画なので、当然考え方はスペインの一般的な見解に沿うもので作られているはず)には賛同できます。
特に減点対象とすべき点は見当たらないので、フルスコアにしています。
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(参考/女の子の名前が「セシリア」)
・ スペインの名前の名づけとしてはよくあるほうで、一般的な名前であるそうです。
(参考/スペイン内戦について(映画内で求められる知識について))
・ 固有名詞まで出て、ある村のある攻撃がどうこうまでは求められませんので、「スペイン内戦とは何か、どのようないきさつで何が発生し、今日(こんにち)までスペインに何に影を落としているのか」を予習するくらいで大丈夫です。
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アルモドバル とペネロペの新たな傑作‼︎
ペドロ・アルモドバル × ペネロペ・クルス ‼︎
知らないうちに
・小津安二郎 × 原節子
・ジャン=リュック・ゴダール × アンナ・カリーナ
などと並ぶ映画史上最強のタッグになっていた。
映画監督の女優に対する強い思い入れが作品を特別なものにする。今作もまた、、、
赤ちゃんを取り違えられた二人の女性の運命を縦糸として今なお癒えることのないスペイン内戦の傷を綴れ折る。
そう、これはアドモドバルの映画芸術とホームグラウンドで生き生きと舞うペネロペに酔いしれる傑作。今年のベストの一本だろう。
遅すぎるけど㊗️アカデミー賞主演女優賞ノミネート。
アイデンティティの在処
出産間近の産院で知り合った同じ日に出産をする予定の2人のシングルマザーの話。
スペイン内戦に纏わる被害者の子孫という重~い話題の歴史記憶法がなんたらかんたらに始まって、子供の取り違えに転換していくけれど、子供の話しは王道ドラマというかありそうなネタというか…。
そこに多様性を絡めて来ちゃうのは最近の映画らしいけれど。
ところでスペインの法律は知らないし、大昔の話しならいざ知らず、この場合親権はジャニスでは?なんてことも頭を過る。
収まるべきところ、帰るべきところ、血縁等の意味においては確かに被るところもある2つの話しではあるけれど、どうも自分の中ではあまり重なってこないし、話しとして頭ではわかるしつまらなくはないけれど、イマイチまとまりが良くなくて沁みて来なかった。
子供の取り違えの話かと思ったら まさかそれはサブ? 予想外に色々と...
子供の取り違えの話かと思ったら
まさかそれはサブ?
予想外に色々とてんこ盛りの作品でした
初めてペネロペクルスを綺麗だと思えた
一歩踏み込んだ人間ドラマ
実の娘ではなかった…
過ごした時間か血縁か…ペネロペクルスの葛藤が見もの。
それとジャニスの部屋の色彩が好き。
母の物語がメインだが、今作は更に一歩スペインの暗い歴史を絡めて踏み込んでいく。
だから予告で思ってたのと違うなと序盤から思った。
この二つが理解不足だからかうまく繋がって観ることができなかった。
終盤のジャニスの展開は観ていて辛いが、あの選択をしたことは正しいと思いたい。
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