劇場公開日 2022年11月18日

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「実存はどこにあるのか」ある男 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5実存はどこにあるのか

2022年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

タイトルが地味だけど、こう言うしかない。自分は何者か、肩書や人種や国籍や、色々なものをはぎとって本質を見つめた時、残るものは何だろう。戸籍を入れ替えて過去も名前も捨てた男が死んで、彼が本当は何者だったのかを追いかける弁護士は国籍を日本に帰化した在日3世。自分は日本人か在日か、アイデンティティはどこにあるのかと問わざるを得なくなる。個人を個人として規定するものは、内面なのか、社会的な立場や評価、戸籍などの記録か、血筋なのか。自分はこういう人間だと内面で強く思ったとしても、世間は、犯罪者の息子は犯罪者の息子として扱ってくる。だから、自分は何の罪も犯していなくても犯罪者の息子として生きざるを得ない。
戸籍を交換し、外面の肩書などを全て外した時に残るものはなんなのだろうか。「ある男」としか言いようがない存在になっても、何かが個人の証として残るものがあるのかどうか。自分に残るものはなんだろうと考えてしまった。

杉本穂高