劇場公開日 2022年1月21日

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「思い出すのは夕日の色。」声もなく ごーるどとまとさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0思い出すのは夕日の色。

2022年2月22日
iPhoneアプリから投稿

できるだけ予備知識の無い状態で映画を感じたいのであまり情報を入れずに、時にはポスタービジュアルさえまともに見ずに鑑賞することがよくあるのですが、それゆえに始まってすぐに映画の国籍に驚いてしまうことも多々。

「罪なき殺人」なんてタイトルの雰囲気から韓国映画と思いこんでいたらフランスとドイツの共作でびっくり!私の頭の中で勝手に「悪人伝」と「殺人の追憶」を足して2で割ってたんでしょうねぇ。
この映画「声もなく」も何とな〜く日本版の「サウンド・オブ・メタル」かなぁと。なんでそうなる?レベルの妄想癖ですよね(恥)。

いやぁそんな独りよがりの妄想はいい意味で見事に裏切られました!日本映画と信じてたらいきなり韓国語が聞こえてきたことに最初は驚いたものの一瞬で展開に引きこまれておりました。

イマドキの言葉で言うと(刺さった!)って言うのかな?かなりグサっときましたねぇ。

しゃべることが出来ない青年テインを演じていたユ・アインさん、調べたらめちゃくちゃシュッとした二枚目だったのでこれまたびっくり。一言も台詞の無い難しい役ですが、その表情とかなり増量したと思われるずんぐり体形だけでいろいろな思いを雄弁に語っていましたね。本当に凄いわぁ。
(日本人キャストでやるなら荒川良々さんだな)とこっそり思いながら観てましたが深い演技にただただ感動です。

格差社会や男尊女卑問題などを小物や少女の台詞でさりげなく語っていて後からいろいろ考察できる作品。
哀しいお話と田舎の美しい景色の対比で一層切ない余韻が増長されてとても心に沁みました。

ごーるどとまと