劇場公開日 2021年10月15日

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「焼き増しではあるが・・・」キャンディマン Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5焼き増しではあるが・・・

2022年9月5日
Androidアプリから投稿

日本の学校の怪談にも通ずる様な、鏡の前でその名を5回唱えると・・・という都市伝説。ビジュアル的にはエンターテインメント性抜群なそのキャンディマンは、92年のオリジナル作品を更に深化させた"社会派''キャラへと変貌を遂げた。 オリジナルのプロットは残しつつ、黒人への差別をテーマとした作品だ。近年、白人警官による黒人容疑者等への不当な銃殺事件が発生する中製作された本作は、随所に黒人に対する不当で陰湿な扱いを描写したものが多く写される。冒頭で子どもに飴を与えようとした黒人を射殺したのも白人警官であり、それが物語の大きな鍵となっている。回想シーンで人を白と黒に分けたのも大きな象徴のひとつだ。 キャンディマンの周囲を飛び交うミツバチについても特に説明はなく、ただ不気味さが漂う物だったが、主人公がそのハチに刺されてから起こる異変を考慮すると、今まで犠牲になった黒人の魂の様にも思えてくる。
そうした社会的なテーマの物語だが、きちんとしたホラー映画である事には変わりない。ホラーの定番、エロシーンに関わった人間は絶対に殺られるだとか、物語もベースはド定番という形だ。そこはやはり本作がリメイク作品である事が大きな要因だろう。あまりにも変えすぎてしまうとそれはリメイクである必要が無い。 静かに迫ってくる演出も良く、どちらかに傾倒されすぎずに観やすい作品だった。流石に続編まで製作される事は無いだろうが、それはそれでまた趣の違う物語になるのだろうか。

Mina