劇場公開日 2021年9月23日

「バンドの絶頂期を切り取った貴重なドキュメンタリー」オアシス ネブワース1996 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0バンドの絶頂期を切り取った貴重なドキュメンタリー

2021年10月1日
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鑑賞方法:映画館

3rd アルバム「Be Here Now」をリリースしたあとのoasis来日公演。チケットが取れ、生で観る初oasisにテンション上がりまくっていたことを思い出す。日本武道館への道を歩く途中、「チケットゆずってください」と書いた紙を持った人たちが並んでいたことにも相当驚いた。たしかにあのあたりがバンドの絶頂期だった気がする。
本作は日本での武道館公演(1998年)よりも少し前、oasisの絶頂期を象徴するネブワースでのライブを扱ったドキュメンタリー。すごい人数を集めたってことは知っていたが、前座がいたり(しかもかなりビッグなバンドたち)、ゲストが出演したりと、知らなかったこともたくさんあった。
このライブを観に行ったファンたちの証言をはさみながらこのライブの凄さを描いていく手法がいい。彼らが言ってることにいちいち共感し、バンドの演奏を観てそのかっこよさにしびれて、またファンたちの証言に共感するという流れをひたすら繰り返した。
oasisというバンドは日本でもほとんどの曲をみんなで合唱するシンガロングバンドだった。ネブワースのセットリストには当時のアルバム未収録の曲も多い。でもみんな歌ってたし、楽しそうだったし、めちゃくちゃ盛り上がっていた。最強のシンガロングバンドだったんだなと改めて思い知らされる。個人的にもあれだけみんなで歌ったバンドは記憶にない。このネブワースまでデビューからたかが2年。なんてバンドなんだろう。
ビートルズと同世代でなかったことに悔しい思いをしたこともあったけど、自分たちにはoasisがいた。万が一再結成したとしても、この当時の輝きはもう出せない。そんなことはわかっているからこそ、この映画は貴重なんだ。当時自分が感じた高揚と、それをもう得られない寂しさを同時に感じる映画だった。

kenshuchu