劇場公開日 2022年11月25日

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「通過儀礼のごとく深淵で不可解な冒険」グリーン・ナイト 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0通過儀礼のごとく深淵で不可解な冒険

2022年11月29日
PCから投稿

この美しさと不気味さを兼ね備えた映像世界は、我々を理解を超えた境地にどっぷり漬け込む。永遠にも等しい時の流れ、湿り気さえ覚える深い森の神秘性は、その空気感や語り口のペースを掴むまで観客にある種の忍耐を課すものとなろうが、そこさえ越えれば後はもう成すがままに緑へ取り込まれるのも早い。

カメラがゆっくり一周パンすると時が経過し、屍は骨となり、土へと返っていく。これに似た円運動をロウリー監督は『A GHOST STORY』でも使用していたが、本作は主人公が一年という期限つきで旅する点、生と死が似た概念で結ばれているようにすら思える点も含めて循環的だ。

そして本作では勇ましいヒロイズムや、歴史に名を刻もうとする功名心が意味を持たない。ガウェインの旅はいわば己の弱さや葛藤を尽く炙り出し、その集積と向き合う通過儀礼。大衆向けではないが、アーティスティックな感性に彩られた極めて精神的な魂の彷徨に魅せられた。

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牛津厚信