劇場公開日 2022年8月26日

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「豊かなハーモニーと人間模様に満ちた骨太ドラマ」異動辞令は音楽隊! 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0豊かなハーモニーと人間模様に満ちた骨太ドラマ

2022年8月30日
PCから投稿

このオリジナル脚本による骨太作を面白く観た。序盤はシリアスな刑事モノ然として始まり、かと思えば、主人公の転属が決まると同じ警察内でありながらその職務や感情のベクトルの違う日々が展開していく。企画としてみるとそこには全く異なる二つのジャンルの融合と化学反応があるわけだが、実際の手触り的には全ては一人の人間の感情として緩やかにつながっていて、決してコミカルに振り切れることなく、滲み出る戸惑い、苛立ち、葛藤を丁寧に紡ぎ上げていく演出に魅せられた。

楽隊役のキャスト陣がいかに難易度の高いことをやっているかは一目瞭然で、とりわけ自分の楽器を体の一部の如くリズミカルに操りながら、そこに繊細な心の動きをも的確に乗せていく様は実に見事。演奏シーンにおける複雑なカメラワークからも作り手の本気度が伝わってくる。集団として呼吸を合わせつつ、個もしっかり輝かせる。彼らの奏でるハーモニー同様、気概に満ちた作品だ。

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牛津厚信