劇場公開日 2022年2月18日

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「友人宅でブーブー文句垂れながら観るのが吉」牛首村 因果さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0友人宅でブーブー文句垂れながら観るのが吉

2023年10月27日
iPhoneアプリから投稿

清水崇の「◯◯村」シリーズの3作目。1作目の時点で既に食傷気味の感があったが、『きさらぎ駅』『リゾートバイト』のようにネットロア的な出自の題材が最近のJホラーのトレンドなので仕方ない。

セリフ回しの野暮ったさは毎度のことなので目を瞑ることとして、序盤はけっこう面白い。トンネルに開いた横穴とか、何かが落下したように激しく波打ち続ける水たまりとか、視覚的に惹き込まれる描写がいくつもあった。

しかし物語が進むにつれ、具体的な描写で受け手を引き込む方向性から物語の構造性で受け手を引き込む方向性へとシフトチェンジしていく。こうなった時点で伝統的なホラー映画としては失敗だ。確かに牛首と双子という2つのトピックを繋ぐ文脈にこじつけや論理的破綻は感じないものの、そのせいでかえって劇中の怪異が「説明可能なもの」の範疇に収まってしまっており、結果的に恐ろしさが縮減している。

終盤、主人公たちが双子の村人たちに囲まれるシーンはなぜ時間設定を昼間にしたのかマジでわからない。暗闇の中から双子の村人がヌッと浮かび上がる方がよっぽど怖い気がするのだが…しかもその後の崖上での一幕も、日光が出ているせいで安っぽい昼ドラのワンシーンのようになってしまっている。

夢か現実かわからない異界に迷い込んでしまった時点で全滅エンドかと思いきや割と生存者が多いのが面白い。エンドロールで元に戻したお地蔵様の首が再び地面に落ちるのはお約束。

細部で損をしている作品ではあるものの、それでも最後まで楽しく観られる作りになっている。映画館よりは友達の家でブーブー文句垂れながら観るのが楽しいと思う。あとKokiはマジで顔もスタイルも整いすぎだからもっと色んな映画に出てほしい。マジで。

因果