劇場公開日 2021年8月6日

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「60年代の埃臭い価値観に翻弄される親子を救おうと老夫婦が奮闘するもうひとつの『マン・オブ・スティール』」すべてが変わった日 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.060年代の埃臭い価値観に翻弄される親子を救おうと老夫婦が奮闘するもうひとつの『マン・オブ・スティール』

2021年9月10日
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鑑賞方法:映画館

不慮の事故で息子を亡くした元保安官のジョージとマーガレットは自分達の牧場で息子ジェームズとその妻ローナ、そして孫のジミーと静かに暮らしていたが、ある日ジェームズが落馬事故で亡くしてしまう。数年後ローナは再婚することとなりジミーを連れて牧場を去るが、街でローナを見かけたマーガレットはローナの夫ドニーがローナとジミーに暴力を振るうところを目撃してしまう。ローナとドニーを救おうと考えたジョージとマーガレットはローナの住むアパートへ向かうが、そこはもぬけの殻でドニー達は実家に転居した後だった。二人は車に荷物を詰めて後を追うが、実はドニーの実家は地元で強大な権力を持つウィボーイ一家、絶対的な権力で息子達を従える母ブランシュは二人を笑顔で出迎えるが・・・。

舞台が1963年ということで、現代から見れば余りにも保守的な価値観に支配された世界。夫のいない牧場で肩身の狭い思いをすることに耐えられなかったローナを引き留めなかったことを悔いるマーガレットが物語を主導。道中で知り合う孤独なネイティブアメリカンの青年ピーターとの交流を交えてウィボーイ一家との対決を心に決める二人の勇姿はほぼウェスタン。しかしそこにあるのは派手な銃撃戦でも早撃ち対決でもなく静かで荘厳な終幕。地味ながらずっしりと重い余韻を湛えたドラマでした。

よね