ONODA 一万夜を越えてのレビュー・感想・評価
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イッセー尾形の真骨頂
イッセー尾形が破壊工作員を養成する中野学校の教官を演じるんだけど、役どころがピッタリ。顔に現れる表情がコントロールされていて、小野田をはじめとする訓練を受けている生徒たちは教官の本心がわからないため気が抜けない。生徒たちの歌っている歌を訓練の教材にしてしまうシーンは、イッセー尾形の真骨頂。
年をとった小野田さん演じる津田寛治、小野田さんを探し出した鈴木青年を演じる仲野太賀、元上官のイッセー尾形。この黄金トライアングルによるラストは圧巻だった。
残念なのは若い頃の小野田さんを演じた遠藤雄弥の力量不足。棒読み感があるセリフ回しは、演技力ある周りの俳優から浮いてしまっていて、ストーリーに集中できなかった。
3時間近くの時間を感じさせない中身の濃い物語になっていたのは間違いないが、小野田さんにシンパシーを感じることはなかった。島民にとって畑を荒らしたり、危害を加えるような日本兵の残党は、厄災でしかない。やはり戦争というのは誰にとっても不幸だ。
燃える秋の日本主題の映画!
小野田さんのことは、鮮明に覚えています。
日本という国が、かつて大国と戦争し敗戦という事実をうっすらと覚える最後の世代かもしれないですね。
この映画の素晴らしいところは、戦争という人をないがしろに葬る所業をあくまでも人、ひとりの個人を押し出してえがいているところで、それ以上でも以下でもない。
手触りは映画でいえば、野火と戦場のクリスマスを合体させ、さらに日本の復興をイノセントというスパイスを振りかけてみましたという味わいかしらん!?
意味不明ですか?それは小野田さんこと津田寛治さんと太賀くんの表情をみくらべての感想です。まあ必見です!
予告編でも、発見されたときの小野田さんの姿とよく似てると思った。 ...
予告編でも、発見されたときの小野田さんの姿とよく似てると思った。
一番狂気だったのは、小野田さんの親が会いに来たときに、二人で妄想を繰り広げるところ。でも、これはリアルなことかもと思った。
フランス人がどういう目線でこれを撮りたかったのか。
たいがくんは、イッテル感がすごく良かった。
さらには、尾形イッセイ。上司のときの演技も、書店で会い、ルソンで、小野田に対する演技もさすがだ。
ラストシーンの伸びた背筋は印象的だ。
でも、イマイチ、天皇制他との絡みで、どういう経過だったかのリアリティはわからない。
たいがくんが最もリアリティがあった。
小野田寛郎元少尉を知る
第二次世界大戦の終戦近い1944年、陸軍中野学校で秘密戦の特殊訓練を受け、フィリピンのルバング島へ派遣された小野田寛郎少尉は、日本から援軍が来るまで部隊を指揮し、生き延びる様に命令されていた。ルバング島のジャングルの中で食糧も不足し、時には農家から食料を略奪しながら、いつか必ず救援がくると信じて仲間と共に島を調査していたが、病気や投降、原住民に殺されたりし、最後は1人になり30年後の1974年に日本に帰還した小野田寛郎元少尉の話。
この話はその前にグアム島で発見された横井庄一さんと異なり、小野田さんは毅然としていたのに驚いた記憶があったが、やはりた士官として厳しい教育を受けて来たからなのだと知った。
戦前の教育の凄さと小野田さんの個人の意識の高さに涙が出た。
ただし、現地の農民から食料を略奪したり、火をつけて焼いたりする行為は生きるためとはいえ、現地の人たちにとって迷惑極まりなかっただろうと思った。
小野田の若い時を演じた遠藤雄弥、成年時代を演じた津田寛治とも素晴らしかった。
帰国のきっかけになった仲野太賀が演じた青年の勇気ある行動にも感動した。
ほとんど日本語での作品なのにフランス人監督・脚本、というのも驚きだった。
ひたすら小野田寛郎
終戦から29年が過ぎた1974年3月にフィリピンはルバング島(ルバン島)にて投稿し帰国した大日本帝国陸軍少尉、小野田寛郎の1944年から1974年の話。
帰国時自分は生まれてはいたけれど物心がつく前であり、後にテレビや雑誌で特集されていたりwiki等からの情報や、親から聞いた話ぐらいの知識で観賞したけれど…変な日本での政府の動きや報道とか噂話等々はまるでなく、ずっと小野田寛郎と三人の仲間たちの様をみせていく展開で、何故?と思う実際にそれを発進した人の変更や、時系列の変更はあるけれど、結構忠実につくられているイメージ。
観賞前、174分は長いな~と思っていたけれど、今作に追加してもっとラフだったりハードで生々しいエピソードもみせてくれても良かったのでは?と感じる程に174分を感じさせない面白さだった。
ただ、あくまでも、小野田寛郎に興味が有り、且つ熟知していない人向けというニッチな作品という感じはしたかな。
日本とは日本人とは何か?
アルチュール・アラリ監督『ONODA』を観た。
上映前の舞台挨拶でイッセイ尾形が3時間の大作ですが、体感的には1時間であっという間 と言っていたが
昭和19年から昭和48年までの30年間のドラマが鮮やかに浮き彫りされた感があった。
日本と日本人とは何か?
MINAMATA に続いて外国人の監督で知らされるのを寧ろ肯定的に受け止めるべきだと思う。
塚本晋也監督の野火に続いて、この映画も多くの若い人に見て欲しいと思った。
自分自身が司令官であれ
フランス人監督が手がけたとのこと、ジャングルの自然を美しく映し出し静謐ながらも独特の世界観を持つ作品。
小野田がなぜ終戦を信じずジャングルに潜伏し続けたのか?彼の細かい心情や背景を描きだしていると長尺になるのも仕方がない。
最後のシーン、小野田の顔がしばらく映し出されるが、彼はなにを思い感じていたのだろうか。
彼もまた孤独とジャングルという大自然を相手に、戦い続けた勇敢な兵士の一人なんだろう。
なんといっても本作はキャストがみんな素晴らしい。
小野田寛郎の青年期を演じた遠藤雄弥から後半は中年期を演じる津田寛治へとバトンタッチされるが、二人の目がよく似ていて全く違和感なく見ることができる。また、バックパッカーの青年を演じた仲野太賀は相変わらずいい表情をしているし、谷口演じたイッセー尾形はさすがの存在感、空気が変わるし声が素晴らしい!
唯一残念なのはセリフが聞き取りにくかったこと。何を言っているか分からないところが所々あった。海外では字幕が入るからそこは気にならないのかな?
上映時間180分弱、長い…
と思ったけど30年のジャングル生活をみたらアッという間でした。戦争なんて全く経験のない子供時代、このニュースにはただ驚きでした。戦争の極限下に取り残された兵士達、通信手段もなければひたすら隠れるしかなし…終戦をまたいでしまい更に極限下。お国のために必死に30年任務を遂行したのに復興がどんどんなされる日本に取り残されるのは哀しすぎる。青春真っ只中なはずの30年、誰が責任をとるのか…。
太平洋戦争の爪痕
津田さん目当てです。
ほとんどジャングルの中で隠れながらの生活です。舞台はフィリピンの島、ルバング 亜熱帯で雨が多い。戦争で常に緊張状態の中、司令を遂行するため部下を家族と思い戦い続ける。空腹 部下の死 また現地の住人を射殺したり精神的な苦痛を負う。
小野田寛郎(おのだひろお)
終戦して30年間近く任務を最後まで遂行する。今の時代考えられない事ですが当時の戦争は普通ではない感覚で生きている。(小野田さんは密戦の研修を受けていることもあるが)それ故、これほど長くジャングルで生きる事になってしまった。
テレビで飛行機から兵隊のまま降りてきた小野田さん。ちょっとタイムスリップした感覚を受けました。(本人も別世界にきた感覚だと思います) この映画は戦争の精神面を描がいている 二人の時はまだ話し相手がいた独りになって先の見えない不安や恐怖感、また孤独感でいっぱいだったと思う この精神面を支えたのは… お前達に自害する権利はない 最後まで生き延びろ の言葉がいつまでも頭の奥に。青年期の遠藤さん成年期の津田さんの演技が素晴らしかった。また他のキャストさんも
戦争の爪痕
30年の月日は何の意味があったのだろうか
誰のことも忘れない この言葉が印象深い
部下の無念の死を想い偲ぶ言葉
津田さんのアップされた目 涙ぐんでいる目が…… 何とも言えない
小野田寛郎さん
昭和49年に30年間ルバング島のジャングルで日本兵として戦い続け、日本に帰国したことは鮮明に覚えている。。当時、武装解除して帰国するには上官の命令がなければ帰れないと言っていたが、その小野田さんがどうして闘い続けたかが、今こうして明らかになった気がする。
小野田さんと小塚さんの役は、若い時と成年期で役者さんが変わっているのですが、違和感なく見てました。
小野田さんの後半を津田寛治さんが演じていたが、その鋭い眼光はまさに敵と対峙し生死を生き続けできた証で、日本に帰国する時にはすっかり穏やかな目に変わっているのが印象的でした。
あれから50年近く経ちますが、そんなに前のこととは思えない。
フィリピンセブ島で夫(私の祖父)を亡くしている私の祖母が、もしかしたらお父さんもジャングルにいるじゃないかしら?と漏らした一言を忘れません。
小野田さんの帰国は、戦争で夫や父を亡くした遺族達にどれほどの希望を与えたかわからない出来事だったのです。
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