劇場公開日 2021年10月8日

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「戦後の30年間、戦い続けた日本兵・小野田寛郎」ONODA 一万夜を越えて 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦後の30年間、戦い続けた日本兵・小野田寛郎

2024年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

フランスから逆輸入された映画です。
小野田寛郎陸軍少佐。
聞いたことはあります。
フィリピン・ルバング島に潜伏し続けていた小野田寛郎さん!!
終戦後30年近くも敗戦を信じずに生き残っていた。

すっかり忘れ去られていた日本兵にスポットを当てた映画が、
若いフランス人監督アルチュール・アラリによって撮影された。

何が面白いかと言って、
雪男・野生のパンダそして小野田寛郎に会いたい・・・
その一心で冒険家の鈴木紀夫(仲野太賀)が、自費で小野田さんを
探して発見、「帰りませんか?日本に」と話しかける。
鈴木紀夫の優しさと繊細な語りかけに、小野田寛郎は答える、
「谷口上官の命令解除がなければ、日本には帰れない」
その望み通り鈴木は谷口少佐(イッセー尾形)を説得し、伴って
ルバング島を再訪して小野田に会わせる。
そのシーンは感動的でした。
小野田寛郎(津田寛治)の凛々しい立ち姿に比して、
緩みきった軽装の谷口。
薄っぺらい書面に書かれた軍隊言葉の任務解除命令書。

やはり形式なのですねー。
兄が迎えに来ようと、敗戦を知らせる投降を促す拡声器の音にも
疑心暗鬼だった小野田の心は一枚の紙切れの命令書きに反応する。

この映画は全編日本語、出演者は90%以上が日本人俳優。
アラリ監督の公正で好意的な日本観と日本愛。
とても和気あいあいで建設的だったと言う撮影現場。
日本人俳優の本気度。
173分の長尺。
小野田寛郎の若い時を遠藤雄弥、壮年期を津田寛治。
2人は80年前そして50年前にタイムスリップした日本兵でした。
そして仲野太賀とイッセー尾形は現代の日本人。
この違いを一目で分からせるって、凄いことです。

仏・独・ベルギー・伊・日の5カ国合作映画。
フランスでセザール賞の脚本賞を受賞。
ちっともタイムリーな題材を描いてる訳では無いのに
新鮮でした。
もっと評価されても良いと感じました。

琥珀糖
Haihaiさんのコメント
2024年2月28日

いつもながら、どんな作品でも理性的というか合理的というか、わかりやすくレビューされていて感心します。
私にとっては、市川雷蔵主演で映画シリーズ化されていた、旧陸軍中野学校出身だったことも小野田さんをより妖しく見せるフィルターになってました(笑)
これからも素敵なレビュー楽しみにしてます!

Haihai
りかさんのコメント
2024年2月9日

こんばんは♪
こちらこそお気遣いありがとうございます😊
なかなか、共感がつかないことしょっちゅうです。
本作おフランス🇫🇷映画だったのですか。画面ちょっと暗く、皆さんの衣装が兵隊服で、観る気があまりなく、いつものごとく、チョッチョッとしか。琥珀糖さんのレビューを拝読させていただいて俄然観たくなりました。ありがとうございます🦁

りか