「何故か悔しくて泣きそう…」機動戦士ガンダムSEED FREEDOM モモンガさんの映画レビュー(感想・評価)
何故か悔しくて泣きそう…
この作品と出会った頃からずっと思い続けている。本当に素材は良いのになんて勿体ない作品になるんだろう?と…。いつも感情論に左右されて戦っているし、昼ドラ?…と突っ込みたくなるような展開はげんなりしていました。
映画はどうなのかと思って観に行きましたが…SEEDの世界観をもっと生かしてほしい!ナチュラルとコーディネイターという種の行方をきちんと描ききってほしかった、というのが感想です。
そもそもDESTINYプランなる荒唐無稽なものを出してくるより、コーディネイターは婚姻統制をしないと子どもが生まれにくく、出生率も下がっている…と設定であるのだから、そこを活かして、もうコーディネイター単体では存続できない、ナチュラルと融和をしていかなければならない…と、議長には融和政策をもっと押し進めてもらい、それに反発するブルーコスモス、又は自分達の存在が危ういと受け止められないコーディネイター達…それを主軸にして戦う悲しみ、人の欲深さや愚かしさを描いてほしかった。DESTINYプランなんて、人命を尊重するためといいつつも、人の人権や尊厳を無視し、意思や決定、責任や反省を蔑ろにさせる政策なんてかなり人を侮っていると思う。主体性を持った人間ではなく、欲しいのは何も考えずに従う羊たちということだから…。
遺伝子の適性のままに従っていれば、争いは起こらないのか?絶対に的確な判断をし続けていけるのか?例え限りなくそれに近い結果が出たとしても、それは人間の怠慢であると思う。例えアニメであっても、よく各国家に対して提案できたな…自分の遺伝子情報を明かして人生を委ねるなんて、究極の管理社会の出来上がり!本当に荒唐無稽が過ぎると思ったものでした…。
それよりも、コーディネイターと融和していくことで、ナチュラルが被る経済的な不利益、利益…又はナチュラルとコーディネイターの人口比率を統制等…国家間の思惑を絡めた戦いを見せてほしかったです。両種の差別も、そこの部分を描くことでより根深さや説得力が増すと思います。
本当に素材は良いのに…(涙)
映画になったのはおめでとう…だけれども、まるで会話は放課後の教室でされているような三流恋愛小説のような内容。敵役も、コーディネイターの上位種っていうけどなんともお粗末で小物感しか感じず、人物描写が薄っぺらく…。あくまでもdestinyプランに拘るのなら、もっとそれの有益さを強調させ、結果を示して理詰めで主張していけばいいのに…と思ってしまいました。
そもそも…今作の主役のラクスが自分はどうしても苦手でした。初登場時から不思議系の聖女って感じで。彼女の背景、生の声ってなんだろう?キラ達は苦しみ、哀しみ、痛み、恥もかいて涙も流して…何度も、彼らの心からの叫びを聞いてきました。でも彼女にはそういった深堀りがなく、無印の後半で実は反戦運動家でした…って何?って。いつも上から導きますっていうスタンスが苦手で…。10代の女の子…まぁコーディネイターは15で成人だけど…が戦争終結に影響を与えて?何その単純極まりない社会!
彼女がなぜそこまで平和を願うのか?彼女の核となる出来事が何も描かれておらず、最後まで消化不良でした。続編の種デスでも…これは彼女だけにとどまらず…戦場に介入していきなり戦闘を停止させようって…行動が無責任ですよ。戦場で命令に従うしかない兵士に何を言ってる?私兵になれと?戦争をどうにかしたいなら戦場ではなく政治!あれだけのことを前大戦でしていて…表舞台からは消えている期間に何もしていないって…結局自己満足でヒーローごっこしてるだけでは?そして彼女はいつもきれいなヒロインのまま、高みから民衆に語りかける聖女様。私が正義です、と言わんばかりの。彼女は政治とか軍事の汚い部分…に絶対に関わらない。直接自分では何もしない。でもそれはおかしい。前大戦で、戦争が始まってからでは、言葉では何も変えられないとわかっていたはず。彼女はクライン派を率いて情勢に関われる位置にいるべきだった…。
前大戦時にアスランに言ってましたね、何と戦わなければいけないのか、戦争は難しいですわね…と。少なくとも戦場で兵士に停戦を求めることではないです!戦争は、人命を代償にした最悪の交渉術です。そうなる前に意思決定をする政府に、その後ろにいる市民に対して世論というものに働きかけなければならないのでは?私達が求めているもの、望んでいる事はこのまま戦い続けて手に入るのか?それを直接言葉にして伝えるよりも、もっと心に訴えかけたいから歌っていたんだと思っていました。でも、手遅れになってしまったから戦ったのだと思っていました。情勢は停戦になっただけで何も解決されずにいる。こんな中途半端な状態のまま自分たちは隠遁生活…?今歌を歌って伝えなくてはいけないのでは?それがあなたの戦いでは?そこの所を付け入られてミーアのエピソードがあるんですが…ま、彼女はカリスマがあるらしいので、汚したくないんでしょうが。続編はキャラもストーリーもどうしていいかわからず持て余している感じだったから。どのキャラも迷走していたなぁ。今までただのCICの女の子だったのに、いきなり脱走に加わり、別陣営に下り戦場で姉に会い、その姉に向かって、お姉ちゃん!何で戦うのよ!ってセリフを聞いたときには、だからソレっ、戦場でっ、軍人に言ったらホントに可哀相だからっ!ホントにもうやっぱり何も進歩してない!そもそもあなた、そんなキャラ?まともなキャラはトダカ一佐とババ一尉を始めとするオーブの軍人達でした。
気がついたらこんなにも長くなってしまった…。すいません。結局何が言いたいか…。自分はラクス教の信者にはなれないってことです。2回目観ても…。あなたの愛はどうでもいいです!愛って言葉が軽く聞こえます!それよりも、ナチュラルとコーディネイターの種の行方はどうなるんでしょう?上位種よりもそっち!でもそんな事はどうでもいい。とにかくキラとラクスの愛は地球を救うんだ!という映画でした。えぇ、もう最後の最後まで…。