劇場公開日 2023年1月6日

  • 予告編を見る

「競技場の歓声と地響きと、馬の駆け抜ける颯爽とした風を感じる」ドリーム・ホース 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0競技場の歓声と地響きと、馬の駆け抜ける颯爽とした風を感じる

2023年1月25日
PCから投稿

イギリス映画には伝統的に人生のどん底から高みへと這い上がっていく秀作が数多くあるが、心の中を颯爽とした風が吹き抜ける本作もまさにそれと同じ位置づけと言えるだろう。同じ実話を扱ったドキュメンタリーも高評価を受けているのだが、こちらの劇映画版では主演のトニ・コレットが見事な存在感をにじませ、競走馬の育成を通じて日常を輝かせようとする主婦を生き生きと演じる。さらにヒロインを支える無職の夫や、同じく人生に”心の高鳴り”を求める街の人々が計画に次々と賛同し、競技場での馬の疾走に夢と希望を託すのだから、スタートの合図と共に観客のテンションが劇上がりするのは必至。ただし重要なのは後半で、痛みや苦しみを知る彼らだからこそ下せる”ひとつの決断”がさらなる感動を呼ぶ。街が活気づく。笑顔に包まれる。腹の底から歌を歌う。パブでは乾杯の歓声が響き渡る。観る者の表情を自ずと綻ばせ、幸福感でいっぱいにしてくれる一作だ。

コメントする
牛津厚信