劇場公開日 2023年11月10日

「やっぱり、人生やらかしっ放しはいけない」マーベルズ ドミトリー・グーロフさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0やっぱり、人生やらかしっ放しはいけない

2023年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作は、MCU映画の中で上映時間が最も短い(105分)とのことですが、体感時間としては130分くらいかなと思うくらい、長く感じられました。

その理由は、接近戦/肉弾戦を中心とした「バトル・シーン」が少なめで、その分、キャロルの宇宙船内やカマラの自宅、フューリーの宇宙ステーションでの「会話シーン」が、ややダレ気味に目立っていたからです。

もっとも、キャプテン・マーベルことキャロルの戦闘能力は「アベンジャーズ最強のヒーロー」と称されるほど。本来そこらの雑魚相手に肉弾戦をやる必然性は薄い。しかし、それでは見せ場が足りない。そこで今回は「格闘の最中、マーベルズ3人の身体が瞬時に入れ替わる(!?)」という新手のバトル・シーンを創り出し、テコ入れしているのですが、あそこまで延々と見せられるとさすがに飽きちゃう、というか…。

もちろん、ほかにも見どころはあります。なかでも、自身の船内で「争い好きのマッチョなオトコどもなんかいらんわ」とばかりに、独りこつこつ宇宙監視とシェイプ・アップ(?)に努めるキャロルの姿は、問答無用に美しくカッコいい。また今回のヴィランであるダー・ベンも逞しさを兼ね備えた美女だし、カマラの母親は生活力あふれる肝っ玉母さん——といった具合に、主役のマーベルズ3人にとどまらず、女性キャラの一人ひとりが「精悍な美しさ」をあふらせているのです。

がしかし、そんな彼女たちの「美しさ」を曇らせてしまうのが、話の展開につれて次々と明らかにされる、キャロルの「やらかしていた/やらかす致命的ミス」。平和維持監視どころか、とんでもない争いの“種”を撒きっぱなしにしてたり、宇宙難民をさらに増やしてしまったり、偽装結婚(?)してたり…とぞろぞろ後から出てくるわ、出てくるわ。これには宇宙無双のキャロルもさすがに口ごもり、時には涙ぐみさえするのですが、そもそも彼女の「うっかりな」(としか言いようがない)不注意や浅慮が原因なワケで。もうね、見ててガックリうなだれるしかなかったです。

最後に、ふたつほど気になったシーンを。
一つめは、例の「腕輪」。取扱い超注意だと判明したアレを、引き続き高校生に装着させていいの? 行く末が素朴に心配…(と、ここでダメと言ったら『ミズ・マーベル』はおしまいなのですが)。
二つめは、キャロルが宇宙船内で、操作盤に装填された大きな燃料ボトルらしきものの交換作業に手こずりながら、モニカと会話を交わすシーン。まるでそれは「会社員の女性が自宅マンションで独り、ウォーターサーバーの水ボトル交換に手こずる」ような生活感滲む日常風景の一コマに見えて、妙な親近感を覚えました。

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ドミトリー・グーロフ