配信開始日 2021年5月12日

「人間らしい密室SFスリラーでメラニー・ロラン独壇場」オキシジェン とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0人間らしい密室SFスリラーでメラニー・ロラン独壇場

2021年5月15日
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教訓 : パニックになる前に一度落ち着こう!けど、そうやって慌てふためためいて視野が狭くなるのが人間らしい。回り回って時間をかけて辿り着いた答えは意外と身近にあるシンプルなものだったり。そう、本作もまた、時が経てばきっと笑い話になるような…?

警告、メラニー・ロランの独壇場。酸素がなくなる前に自分を至急思い出せ!現実に集中する、記憶を刺激する。例えばライアン・レイノルズが『[リミット] Buried』で素晴らしい演技・一人芝居を披露したように、本作もまた彼女にとってのそれ。独りにしないで。
ここはどこ?酸素ポッドの中で目覚めて、おまけに記憶喪失。パニックになるリズと声だけのミロ。心拍数が上がっています、鎮静剤を打ちますか?信じていた現実が突如音を立てて壊れる。博士でバスケ選手?新しいような、よく見るような。『2001年宇宙の旅』のHALよろしく本作のマチュー・アマルリックは『月に囚われた男 MOON』のケヴィン・スペイシー、『her』のスカーレット・ヨハンソン。つまり主人公オミクロン267の話し相手となる。SFと目。
僕たちが愛してやまない、一貫した鬼才アレクサンドル・アジャ監督待望の新作は、ワニの次は酸素!見る者をシートの隅に追いやり、爪を噛ませ、耳を塞がせたくなるようなドキドキハラハラを届け、モンスター映画新たな代表作となった『クロール』に続き才気煥発か?…と期待していたら、いざ見てみると思ったより普通の(?)密室SFスリラーだったかも。左右の鼻の穴の大きさの違うことが本作で明らかになったメラニー・ロランの好演熱演は一見の価値ありだけど。102分の人生?私は生きたい!酸素残量2%。鎮静剤を打ちますか?

とぽとぽ