劇場公開日 2022年12月2日

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「G7で唯一、同性婚を認めない国」泣いたり笑ったり きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0G7で唯一、同性婚を認めない国

2023年3月6日
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鑑賞方法:映画館

楽しい映画でした。
年配の父親のまさかのカミングアウト。
それがあれよあれよと言う間に漁師の男との結婚式に至るのであるから、確かにこの映画、心の準備などなかった家族にとっては驚天動地だったでしょうね(笑)

思い出すのは、
ユアン・マクレガーの「人生はビギナーズ」です。お父さん(クリストファー・プラマー)が、自身のがんの余命宣言に上乗せして「同性のステディの存在」を息子ユアンに打ち明けるというダブル・ショック。
映画界の“旬”は 「同性の」、「年の差の」、そして「シニアの恋愛」に、移ってきているようです。

本作品、息子サンドロと娘ペネロペの嘘のない演技が、この映画をがっちりと支える土台でした。主役たちを食うほどにあの二人が本当に輝いていました。

・・・・・・・・・・・・・

再来月の5月には日本でG7サミットが開かれます。
日本はG7の構成国で唯一、同性婚を認めない国。
ホストの岸田首相は大慌てでサミット開会までに同性婚を認めたいと言っているようですが、党内は揉めてますね。

岸田さん、LGBTへのヘイト発言をした自分の片腕の審議官を、目前に迫るサミットの手前からかな? 即座に更迭をしたのだけれど・・この流れで彼は国会審議も突っ走るのか?

この
【「同性婚」や「夫婦別姓」の容認って、実は日本国の天皇制と真っ向から対立する概念】なんですからね。

EUも含むG7加盟国では、王室を持つ国は日本を含めて8カ国。エリザベス女王の死去で一減したものの、デンマーク女王のほか次の代替りに「女」王が決まっている国家がスウェーデン、オランダ、ベルギー、スペインなどと目白押し。その理由は「性別に関わらず長子=王位継承者」の国だからです。

対して我が国。何がなんでも男子以外の即位を認めない日本は、家父長制度の頂点にその象徴としての皇室制度を君臨させ、男系のみを神格化しています。
誰が産んだのかは一切不問で誰が父親であるか、それだけがあの家を支える。
戸籍・皇統譜・家系図は、天皇制護持のためには聖域であり不可侵。

そこへ「同性婚」や「夫婦別姓」を導入するってことは家系図の相対化なんですよ。
男女の対等の宣言です。
もしも立法化されれば「天皇制」の憲法内矛盾や違和感が今後さらに際立ち、いずれそれを瓦解させてしまいますが。
僕は「やれー!やれー!」の立場ですが。

NATO、SDGs、LGBTと横文字を連呼する若き総理大臣=岸田文雄さんという人は、思慮が深いとは見えない思いつき発言や、時流・流行りをスイスイと取り込んでしまおうとする“新人類気質”のお人なのかもしれない。
安倍さんたち歴代総理と違って皇室とは縁戚でもありませんしね、
外様大名の気楽さがあるんでしょう。

で、劇中、イタリア人たちの早口はまったくお見事。
ほとばしる生の感情の応酬は、テンポが早くて中だるみは無し。
「反対はしたが自分は父を尊敬している。陰で妨害はしたくないのだ!」と七転八倒のパニックのあとで息子サンドロにそう言わしめた、家族愛の勝利で幕でした。

ヨーロッパでも、そして我が国日本でも、
「同性愛、別にいいんじゃないの」
「長男じゃなくて愛子さまが天皇でなぜいけないの」の大合唱。
老人政治家たちはほぞを嚼んでいるでしょうが、この風潮になるまでに至ったことはホント感慨深いです。

さて果たして今国会で、あるいは5月のサミットまでに、どれだけ生身の言葉で激論が出来るかですよね、見ものですよね。

イタリアの海辺での家族の愛の物語。
海と陽光と人間たちが美しくて、いい日曜日になりました。

きょうの東座の支配人は映画に会わせて? セルリアンブルーのカーディガンでしたよ、やっぱりねー。

うちですか?
はい。弟が素敵なゲイです。教師をしています。彼氏は我が家の家族旅行にはいつも一緒です。
家族愛があれば乗り越えられないことはありません。

きりん
talismanさんのコメント
2023年3月8日

ルフトハンザの件は3月1日?ニュースで見ました。息子は居ません。あちこちでいろんな事故があるたびにひぇー!でも今のところ問題ありません。ありがとうございます。
ベルリン、テルアビブその他。ドキドキしますがそれで世界をわかって欲しい。
ありがとうございます。

talisman
talismanさんのコメント
2023年3月8日

上にいろいろ書き過ぎました!ごめんなさいです

talisman
talismanさんのコメント
2023年3月8日

きりんさん、ご心配ありがとうございます。知りませんでした!でも息子は飛行機に乗っての移動はない時期なので大丈夫です!

talisman
talismanさんのコメント
2023年3月8日

きりんさん、ご心配ありがとう

talisman
きりんさんのコメント
2023年3月7日

talismanさん
いっぱい情報をありがとうございました(笑)

東ちづるも言ってましたね、いつか「LGBT」なんて言葉もなくなるのだ、って。
そのドリームに深く同意です。

きりん
talismanさんのコメント
2023年3月6日

家族ぐるみで30年以上つきあってるドイツ人友達の娘はプロテスタントの牧師で、学生時代に知り合った女性と結婚しました。二人とも牧師です。二人とも精子バンク利用してそれぞれに子ども(男の子)がいます。役所でも教会でも結婚式を挙げました。幸せな人が増えるだけで誰も困らない!
あと、本当にグラデーションなので、LGBTQ+という名称は早く無くなって欲しいです。

talisman
talismanさんのコメント
2023年3月6日

ドイツは2017年に同性婚導入しました。ノイマイヤーはその翌年、長年のパートナーの男性と結婚しました。ノイマイヤーは今、84歳かな。よかったねーと思ったし、舞台は相変わらず彼が好き(だと思う)ベビーブルーの照明が沢山使われていて嬉しかったです

talisman
talismanさんのコメント
2023年3月6日

きりんさんはバレエ、習っていらしたんですよね。この間、上野の東京文化会館でハンブルク・バレエの「ノイマイヤーの世界」を見てきました。久し振りのバレエ、久し振りの大好きなノイマイヤー。最後のマーラーの三番のダンスでは滂沱の涙状態でした。隣席の女性ともよかったですねーと一緒に感動しました。

talisman
talismanさんのコメント
2023年3月6日

きりんさんのレビューの全てに共感です。うちは東京新聞なんですがここ最近ほぼ毎日、一面は同性結婚がテーマです。

talisman