劇場公開日 2022年2月25日

「教科書的な評価はいらない。このまま突っ走ってほしい!」Ribbon st98さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0教科書的な評価はいらない。このまま突っ走ってほしい!

2022年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

高視聴率をあげたテレビドラマの映画化作品がヒットする傾向がずっと続いている。いつのまにか観客もそのような作品に慣らされ、いかにストーリー、展開に破綻がないかに目を凝らして、少しでも突っ込みどころがあると批判するという風潮が続いている。もちろん、脚本、演出のしっかりした映画は観ていて安心するし。満足感もあるだろう。
しかし、そのようなメインストリームからはずれた、作家性の強い作品を作り続けている作家も大勢いるのだ。
この作品は、商業性と、作家性がなんとも言えないバランスで両立している作品だ。監督の自分の表現したい映像と、観客にも楽しんでもらいたいという願望とが、ぎりぎり、うまく融合している作品だ。
導入部の主人公が彷徨するシーンや、全編を通してのribbonの映像は、この監督がなんとしても映像化したかったものであろう。中盤からの二人芝居の連続はなんとも言えない不思議な空間を作り出している。後半からは、監督の若さ溢れる疾走感がいやでも伝わってくる。
ほこりの被った映画の教科書を引っ張り出してきて、脚本が荒いとか、導入部のシーンはいらないとか、はては、ribbonの映像自体不要だどかつまらない感想が多い。教科書的評価からすればそうかもしれないが、そんなことはどうでもいいのだ。この監督には人をわくわくさせる不思議なエネルギーを感じる。つまらない評価など気にせず、このままの感性で突っ走っていってほしい。次回作が制作できる環境にあることを切望する。

st98