劇場公開日 2023年1月13日

「「父親力」MAXな一本」そして僕は途方に暮れる talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「父親力」MAXな一本

2024年5月2日
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鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
父親として、お前に言っておく。
逃げろ。逃げろ。逃げろ。逃げ続けろ。
そうして、どうしようもなく怖くなったら、映画の主人公にでもなったつもりで、こう思うんだ。
「面白くなってきやがったぜ。」
これで、すべて解決する。

<映画のことば>
やっぱり、お前は俺と違うな。
全然、面白くならなかったじゃねぇかよ。

人間、生きていくためには、時には「逃げる」ことも必要になることがあるのかも知れませんけれども。
破綻するたびに、それぞれの人間関係から逃げて、逃げて、逃げまくってきた裕一が、初めて(ようやく?)自分と向き合い、(これだけの人間関係の破綻を経験して来たのに)「何も変わっていないんですよ、俺。」と気がついたことが、裕一の最大の変化だったのだろうと思います。評論子は。

そこまで来られれば、大丈夫でしょう。
現に、その後の裕一は「最大の危機」も、ちゃんと乗り越えることが出来ていた訳ですから。

そして、裕一をそこまで「押し戻した」のは、何と言っても父親の影響力を置いて、他にありません。
女子力ならぬ、「父親力」MAXな一本というべきでしょう。

佳作だったと思います。評論子は。

(追記)
たまたま同じ時期に観た別作品『ちひろさん』も、生き様(ざま)ということがテーマの作品でしたけれども。同作中のちひろさんのように「逃げない」「運命に真正面から抗(あらが)う」という生き方も一つとすれば、本作のように「逃げる」ということも、それはそれで一つの生き方なのかも知れないと思います。評論子は。
省みて、二人の子供たちから見て、評論子はどんな父親だったでしょうか。
おそらく、その本心を聞く前に、評論子の柩の蓋が閉じられるとは思うのですけれども。
そんなことにも思いの至った作品になりました。

(追記)
しかし、何ですか、この映画は。
本当はコメディですか?
そういう前段の組立ても、本作の「味わい」を、いっそう深くしていたとも思います。
学生演劇ご出身の方のようですけれども、こういう作風の監督さんなのでしょうか。
だったとしたら、「追っかけ」をするのが楽しみな監督さんに、また新しく出会えたようにも思えて、嬉しい限りです。評論子には。

(追記)
裕一の郷里の「北海道」って、苫小牧市のことだったのてすか。
シネマ・トーラスでのロケがあったのですね。本作では。
「王子総合病院」も、市内では大きな病院のひとつです。
そして、王子製紙の煙突や、苫小牧駅のコンコースも映っていました。
ちなみち、苫小牧市は評論子の地元ではないのですけれども。
それでも、同市内で別の集まりがあって、その機会に月にいっぺんくらいは、ここシネマ・トーラスでも映画を観ていることを、申し添えておきたいと思います。

talkie
talkieさんのコメント
2024年5月5日

トミーさん、いつもコメントありがとうございます。
そうですね。そういえば「二本立て」「三本立て」がなくなったのは、いつ頃からだったでしょうか。
私の「第一次映画ブーム」は、今を去ること、ん十年まえの大学生の頃でしたが、当時は、確かに映画は「二本立て」「三本立て」で観るのが当たり前でした。

talkie
トミーさんのコメント
2024年5月5日

共感ありがとうございます。
大分前の鑑賞でおぼろげなんですが、面白くなかったというのは映画館でかかっていた2本立にも絡めていた記憶が有りました。違っているかもしれませんが、今や名画座でも2本立は珍しい印象。こっちは何度も観たのになぁ、でももったいない・・と悩んだ昔が懐かしいです。

トミー