劇場公開日 2022年1月7日

  • 予告編を見る

「イーストウッド大好き💕」マークスマン かなり悪いオヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0イーストウッド大好き💕

2023年6月11日
Androidアプリから投稿

な~んかイーストウッドの映画に似てなくねと思ったあなた、大正解です。劇中『奴らを高く吊るせ』を孤児のメヒコ少年と一緒に鑑賞するワンシーンがあるのだが、そんなレベルではないのだ。この映画をよーくご覧になると、全編クリント・イーストウッドへのリスペクトにみちみちた1本なのである。

それもそのはず、本作を監督したロバート・ローレンツは長年イーストウッド作品の製作に関わった人らしく、傍らでずっと映画が出来上がるプロセスを見守ってきたのだそう。そんな長年の盟友が監督業に転身、イーストウッド本人からシーン流用の了解を得るにあたってもすんなりOKがでたと思われるのだ。

リーアム兄さん演じるジムが(映画)ヒット率100%の元海兵隊スナイパーという設定はもちろん『アメリカン・スナイパー』から。地元警察官の一人娘が奥さんを亡くして酒浸りのジムを心配するくだりは『人生の特等席』か。言葉が通じない(と勝手に勘違いしていた)少年ミゲルとの交流は『グラン・トリノ』を、その少年を麻薬カルテルの裏をかきながらシカゴへと送り届けるくだりはあの『運び屋』を彷彿とさせるのである。

映画を見ていて一点?がついたシーンがある。カルテルのゲーハーリーダーが、ジムの家を焼き払う直前に海兵隊時代に授与された🎖️をわざわざ持ち出し、死の直前ジムに手渡しするのである。あんなにジムに敵意むき出しだった悪党が?と思ったりもしたのだか、この映画が作られた趣旨を考えるとなるほどね、と合点がいくのである。

それは勝負に勝ったジムにではなく、本作には登場しないクリント・イーストウッドに捧げられた🎖️だったのではないか。半分ヨイショが入っているような気がしないでもないが、映画監督の大先輩への「あんた最高だぜ!」というリスペクトをどうしても具体的なシーンで表現したかったのではないだろうか。あらすじどうこうよりも、「イーストウッド大好き💕」な監督の気持ちが全面に押し出されている作品なのである。

コメントする
かなり悪いオヤジ