劇場公開日 2022年10月21日

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「アジア人とは何なのか」アフター・ヤン せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アジア人とは何なのか

2022年11月29日
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鑑賞方法:映画館

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アジア系の女の子を養子に持った一家で家族のように過ごしていた人型ロボットヤンがある日突然故障し、ヤンの中に残った記録と共にヤンと過ごした日々を思い返す家族の話。

恐らくヤンがこの一家に来たのは単に家政婦的な役割と中国人(系?)のミンが家族の中で疎外感を感じないようにするため。でもヤンは中国に住んだこともないから、求められている役割と自分の見た目とルーツの乖離に多少の葛藤はあったっぽい。

中国文化に傾倒しているように見える一家も、ミンがコチュジャンを作ったと嬉しそうに言っていたり、ラーメンを一緒に食べる夫妻だったり、どことなくアジアの文化が混在している。この、アジアという大きな括りに傾倒しているのかピンポイントで中国が良いのか不明な、リベラルで裕福な家の"異文化理解しています感"がリアル。

4人全員が写っている写真を飾っているけど、ヤンのメモリには自分のいない3人の姿が記録されているように、一家は良好な関係を築いていて家族の一員のように受け入れていたと思っていても、ヤンの視点では夫妻についてはどこか1歩離れて見ていたのが少し切ない。

「アジアとは何なのか」、アジアの文化について深く語るジェイクや老子の言葉に少し感銘を受けるカイラを見て、ヤンと同じように自分もそう思った。アジアの文化を褒めながら「人間になりたかったかな」と少し上から目線なジェイクが、「西洋人になりたかったかな」に置き換えれるような気がする。やっぱ西洋人になりたいもんな私は。そもそも1歩引いて少しはにかんだような顔でいつもそばにいるヤン自体が、いかにも西洋人がアジア人を模して作った感があるしなぁ。

過去のシーン、なんか同じこと2回言ったり結構反復されてて変だなと思ったのだけど、私はあれ、やんの記録を見返すように自分の記憶でも同じところを何度か思い返したりしてるからなのかなと思った。ただ、中国の文化ごちゃごちゃ話してる時にそれやられると何も話が入ってこんです。

せつこん