劇場公開日 2021年10月22日

「原作オタクの感想」ひらいて せせりさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原作オタクの感想

2023年8月25日
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おいおいなんだこのキャスティングは!?原作読んだのかよ!?愛ちゃんはひとえで垢抜けてて美雪は色白の美少女なんだよ!おーい!と思って観るのやめようかと思いましたが、美雪役の子のあまりにもピュアな演技に惹かれてだんだん可愛く見えてきて…なるほどこれは素晴らしいと思い直しました。声と笑顔がいいですね、最高ですね。
でもね、最後あれで終わるのは無しだと思いますよ。
どう考えても最後はあれじゃないですよ。

原作だと受け口で不細工ながらも気になる人は超気になる!という存在のたとえ君も、まあ普通に地味イケメンになってるので、私の方がお似合いとか私の方が可愛いのに!という焦燥感が伝わってきやすくなってますね。

そんなたとえ君が愛に迫られ、「お前みたいな暴力的な人間」を嫌いだと言い、「俺が美雪を見つけた時どんな気持ちだったかわかるか?」と言う。
そのセリフがね、もうあの美雪役の子を知ってたらすんごい説得力なんですよね。
あの子はほんっといい子だもんねーわかるよ〜って感じです。
もちろん美雪役の方はすごくかわいくて綺麗なんですけど、それだけじゃない魅力が表現されてると思います。

あと演出がね…改変がめちゃくちゃよかったです。原作ではオードリーヘプバーンのモザイク画を作るというあんまりピンとこない展示作品とは違い、折り鶴で桜の木を作るって逆に原作より全然よかったなー。
原作では鶴がモチーフとして出てくるけど、それは有機的に生かされていなくて、催しはティンカーベルだのオードリーだのいちいち少女趣味すぎて微妙だったので…。

桜の花を折り鶴で作るなんて、画面映えするし、手間かかってるし、人数必要だし、学校らしいし、その後も夢の中のような風景になってるし…すばらしいです。いつか先生になったら私はあれをみんなに作らせますよ。そのくらい最高の作品でしたよ。あれは。

もう一つの、原作で仮装大会だったのを日向坂なりきりに変えてたのも良かったですね〜。2020年代が反映されてて、いや〜素晴らしい!

わりと原作厨がみても想像通りのシーンと、納得のいく改変が多かったので全体的には満足です!
あと多田くんが原作よりもつきまとってましたねー。ミカと多田くんが体だけの関係だというのは個人的には気持ち悪かったけど、まぁ、この作品内では「届かぬ思い」を知った愛が「その気持ちもわかる」と言うために必要でしたしね。

そういえば、カースト上位で派手でおしゃれで垢抜けてる容姿の愛が清楚系なのは、この作品が描かれた2011年とは時代が変わったからですよね。あの頃はまだ初代AKB全盛期ですし、カースト上位はまだまだ髪染めてピアスして〜みたいな感じでしたもんね。
感慨深いです。

せせり