劇場公開日 2021年4月29日

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「~「希望の前には絶望がある。汚れなければ潔白を証明出来ない。」~」FUNNY BUNNY 門倉カド(映画コーディネーター)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5~「希望の前には絶望がある。汚れなければ潔白を証明出来ない。」~

2021年8月29日
PCから投稿

悲しい

知的

難しい

【賛否両論チェック】
賛:突拍子もない事件を起こした主人公の、切なくて苦しい真実に、観ていて胸が痛くなる。それでも「生きていくことの大切さ」を訴える展開には、観ていて希望を感じさせてくれるよう。
否:荒唐無稽でありえないような展開に加え、セリフがやや小説チックで、シュールな笑いも随所にある。後半も少し蛇足感が否めないか。

 「ウサギの着ぐるみを着て図書館を襲い、『絶対に借りられない本』を探す」という、一見すると突拍子もない事件を起こした主人公・剣持。やがて明らかになる彼の言動の裏側には、あまりにも切なくて苦しい真実が隠されていたことに、思わず驚かされます。あまり言うとネタバレになってしまいますが、個人的には田所修が言った、
「希望の前には絶望がある。汚れなければ潔白を証明出来ない。」
という言葉が、胸に染みました。
 ただストーリーそのものはかなり荒唐無稽で、セリフの言い回しもやや小説チックなので、その辺りの好き嫌いは分かれそうなところです。また、およそ展開にはミスマッチなシュールな笑いも、随所に見られたりします。後半のお話も、個人的にはやや蛇足感がある気もしてしまいました。
 とはいうものの、
「“忘れる”前進だってある。だけどな・・・“諦める”なんて前進はどこにもねぇんだよ!!」
という剣持のセリフに象徴されるように、「生きることの重さ」や「それでも生きていくことの意義」を考えさせてくれる、そんな作品でもあります。気になった方は、是非ご覧になってみて下さい。

門倉カド(映画コーディネーター)