劇場公開日 2022年1月14日

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「爺さん、遊んでんじゃね〜よ(褒めてます)」クライ・マッチョ 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0爺さん、遊んでんじゃね〜よ(褒めてます)

2022年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

萌える

90過ぎて現役の映画監督であり主演俳優である
クリント・イーストウッドの奇跡のような作品。

ロデオで一世を風靡した老いた元カーボーイが
昔世話になった牧場主の頼みで、
その牧場主の別れた妻の元にいる13歳の息子を
メキシコまで探しに行くお話。

その息子は、母親の新しい男に虐待されて
すっかり大人不審になっていた。
クリント爺さんはそんな少年を何とかなだめて
父親の待つアメリカのテキサスに連れて行くロードムービー。

劇的なシーンは無いんだけど、
映画を観に来た自分と同じような爺さん達に向かって
爺さんになったら若い時の事に拘らず、
出来ることは黙って淡々とこなし、出しゃばらず、偉ぶらず、
若者や子供達には誠実に接し、ちょっと色気も無くさず、
淡々と最後の時間を楽しもうぜ!
そんなクリント爺さんの声が聞こえて来そうな映画。

で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては

爺さん、遊んでんじゃね〜よ!と
笑いながら突っ込みを入れたいような映画。

映画の中で、クリントは昔の作品の
「マディソン群の橋」の再現の様に通りすがりの町の
食堂の中年女性に惚れられて、良い仲になったりしてね。
少年に生き方を示唆するのは「グラン・トリノ」だし
車で荒涼たる景色の中を走るのは「運び屋」だし
馬を乗りこなすのは「荒野の用心棒」的だし
今までのキャリアを軽くなぞる様な作品。

正直なとこ、「リチャード・ジュエル」のような
見た目の印象に振り回されるレッテル貼りの危険さや、
「ハドソン川の奇跡」のようなヒーローではない
誠実な仕事人が誠実に仕事を果たした結果の奇跡
と言うようなジーンとする映画ではないから
クリント爺さん、遊んでんじゃねーよ!(笑)
と突っ込みたくなる程の、肩の力、向け向けの映画だけど
ここまで肩の力を抜いてそれなりに鑑賞に耐える映画を
今だに撮れるイーストウッド監督にただただ
リスペクト!!

星のナターシャnova