劇場公開日 2021年11月12日

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「民主主義の実像」ボストン市庁舎 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0民主主義の実像

2021年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

タイトル通りにボストンの市役所の仕事を丁寧に追いかけた作品なのだが、いつものワイズマンらしい部分とちょっと変わってるかなという部分が混在する。ワイズマン作品には特定の主人公的なポジションの人物がいないのだが、今回は当時の市長、ウォルシュ氏が頻繁に登場する。確かに彼は魅力的だ。労働者階級出身で、かつてアルコール依存症で、市民の声をよく聞いている。スピーチも上手い。ワイズマンは午前中に市役所を見て回り、その日何が行われているかを見てからその日の撮影対象を決めるそうだ。最初からウォルシュを追うと決めていたのではなく、面白そうなものにカメラを向けたらウォルシュがいたということらしい。そういう意味では、ワイズマンはいつものスタイルを貫いている。
この映画を観ると、政治は生活のあらゆる場面を支えているものだということがよくわかる。ゴミ収集も、ネズミ退治も全部政治なのだ。その他、大麻ショップのオープンをめぐる住民との議論が面白い。このシーンだけで20分くらいあるのだが、本当にエキサイティングかつ知的な刺激にあふれている。

杉本穂高