劇場公開日 2021年2月5日

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「コメディの顔をしたサスペンス、バカリズムの引き出す会話と伏線が見事」劇場版 殺意の道程 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0コメディの顔をしたサスペンス、バカリズムの引き出す会話と伏線が見事

2021年2月24日
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鑑賞方法:映画館

笑える

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興奮

本格サスペンスの形相をしたコメディなのに、サスペンス以上に展開が読めず、とても面白かった。バカリズムらしい着眼点と事細かに進む道程に笑いっぱなし。ラストはハッとして。これは1本取られた。

元々WOWOWでやっていたドラマだが、劇場版としてスクリーンに登場。復讐という有りがちな視点でありながら、その道程を綴る異色のサスペンス。序盤から漂ってくる、「大丈夫か?」という掛け合い。打ち合わせから前途多難。場所は?凶器は?スケジュールは?完全犯罪のためならと意気込んだものの、悩みは尽きない。一見すると、飽きが来そうな道程だが、そこは脚本バカリズム。殺す気など毛頭なさそうな会話がとにかく面白い。チーズパンだとか、下ろし立てのポール・スミスとか、どうでもいいのに、そこから滲む人間味がなんとも心地よい。そして何より、タイトルカットがよく出来ている。サスペンスとしての過程は踏んでいるので、本筋に逸れないように持ちこたえながら、進む展開を暗示している。また、堀田真由や佐久間由依も作品に華を持たせる。キャバクラ嬢でありながら、計画に加担する役どころだが、バランス良く機能している。殺し方の指南に占い…。何より彼らの邪念を引き出す色気が面白い。ピースとして上手くはめ込まれた二人がいたからこそ、サスペンスのオーラとコメディのテイストをブレンドさせている。井浦新の真面目な表情も忘れてはならないが、この"心の声"が何より、さすがと思わせる。

このバランスの作るバカリズムと、その意図を巧みに魅せる住田監督のバディは、まさに無敵。『架空OL日記』をまだ観れていないのが悔しい。ホント面白い。笑えるのに読めない。読めないのに笑える。次回作も期待したくなる。

たいよーさん。