劇場公開日 2021年9月3日

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「ファンにはうれしい劇場版!」科捜研の女 劇場版 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ファンにはうれしい劇場版!

2021年9月5日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

テレビシリーズのファンで、劇場版制作発表を聞いた時から楽しみにしていた本作。今回はどんな事件と鑑定が描かれるのかと楽しみにしていました。

ストーリーは、飛び降りて亡くなった女性教授を解剖するも事件性が見られず、自殺として処理されそうになるが、その後も同様の転落死が続き、その不可解な死からダイエット菌に手がかりがありそうだと目をつけた科捜研の活躍を描きます。いつものBGMも劇場で聞くと雰囲気が変わり、それだけでテンションが上がります。

本作は、テレビシリーズの集大成的な位置づけで、冒頭でいつもの科捜研メンバーのプライベートが描かれ、宇佐見さんのお母さん、日野所長の奥さんなども登場し、なかなか興味深かったです。旧メンバー相馬くんも登場し、その後の捜査に協力する場面もあり、めちゃくちゃ懐かしかったです。

他にも、これまでに登場した関係者を様々な形で登場させ、楽しませてくれています。長期にわたってシリーズ化された作品ならではの同窓会的シーンは、ファンにはこの上ないサービスでうれしくなります。これだけ多くの人物を投入し、それもストーリー上にうまく落とし込み、それなりに機能させているところも心憎かったです。

ただ、そのためもあってか、中盤はやや中だるみした印象です。最終的に真相究明に深く関与しないシーンやミスリードのための人物描写などがあってもいいのですが、あとで観客が「そういうことだったのか」と納得できるような解説的シーンも入れてほしかったです。逆に、人物背景がうかがえるようなシーンはやや不十分だと感じました。これが弱いと犯行動機の説得力がなくなってしまうので、ここはしっかり描いてほしかったところです。

また、今回は捜査の行き詰まりを、豊富なゲストキャラの協力を得て打破していきます。マリコさんの暴走機関車ぶりはいつものことですが、いつもはこれが仲間に向かいます。そして、マリコさんの暴走と無茶振りから、終わりの見えない検証実験の繰り返しに付き合わされます。この勤務時間度外視の地道な検証と、だからこそ生まれるチームワークも見どころの一つなので、本作でもそのあたりがもう少し描かれるとよかったです。

今回は舞台挨拶中継付き上映でしたので、上映後にキャストのコメントを聞くことができました。作中さながらの科捜研メンバーの絆を感じることのできる貴重な時間でした。最後の沢口靖子さんの挨拶の「私たちをこの場に連れてきてくださったのは、みなさんのおかげです」という言葉が印象的でした。素敵な作品を届けていただき、こちらこそ感謝です。これからも応援していきます。

おじゃる