劇場公開日 2021年5月12日

  • 予告編を見る

「"それが答えだ!"って言いながら、何が答えか言わないっていう。そこがいいんだよ。」くれなずめ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5"それが答えだ!"って言いながら、何が答えか言わないっていう。そこがいいんだよ。

2021年5月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

じつは、吉尾がどうなっているのか、その大事なことを知らずに観た。途中、みんなにかき消された告白で「おや?」と気付き、確信を持った時には泣いていた。
なによ、このくだらなさ。このどうしようもなさ。どこにでもいるどうでもいい連中が、半端に歳とって、はっきり主張もしなくて、世間に流されている感が画面から駄々洩れしている。
なのに、なんで俺は泣いているんだろう?
なんでこんなにこいつらが愛おしんだろう?
なんだか分かんないシーンもあって冷めるときもあるけれど、何度も、声を殺すことに苦労するほど笑い転げ(ちんちんに失礼、幸せになれよ、滝藤を認知した瞬間等々)、息が一瞬止まるほどに咽ぶことを堪えた。最後、これが今生の別れだと重々分かった上での「またな」の切なさったらないね。そうだよ、未練がましいのはどっちだかわからないけど、引きずっていけよ、いつまでも。引きずるほどの過去があることに後悔することはない。それは宝だ。俺はこいつらとは他人ではあるけれど、こいつらは俺の分身だ。

栗太郎