劇場公開日 2022年9月16日

  • 予告編を見る

「荻上直子監督なりの死生観」川っぺりムコリッタ 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5荻上直子監督なりの死生観

2023年3月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

楽しい

監督と脚本は『バーバー吉野 』『恋は五・七・五!』『かもめ食堂』の 荻上直子

前科者の山田はほぼ無一文で富山に引っ越してきた
イカの塩辛を扱う沢田水産工業に就職した山田は社長の紹介で平屋建てのアパートが立ち並ぶハイツムコリッタに住み始める
ある日市役所から父が亡くなったことを知らされる
両親の離婚で4歳のときに生き別れた父はアパートで孤独死で夏の盛りで腐っていた
山田は渋々だが仕方がなく父の遺骨を受け取った

荻上直子監督らしいほのぼのとした視点で死を見つめている作品

豪華な顔ぶれ
満島ひかりと松山ケンイチとムロツヨシと吉岡秀隆の並びに邦画ファンなら観たくなるはず
いかにもウマ娘が好きそうなアニメ原理主義者を除いて
薬師丸ひろ子なんて声の出演だけだし田中美佐子に至ってはほんのワンシーンのちょこっとだけ

溝口親子がいい味出している

久々に墓が売れて溝口親子が豪勢にすき焼きを食べようとしてると島田山田南が次々上がり込んですき焼きパーティーになるシーン好き

堤下に説明を受け父が最期に住んでいたアパートの一室を土手の上で見つめる山田を演じた松山ケンイチの表情が好き

南が夫の遺骨を口に入れるのはまだいいんだけどそれ以外はちょっと・・・

南が山田を慰めるシーンにジーンときた

最後の坊主を先頭に粉砕した遺骨を撒く葬式パレードのシーン大好き

髪型を変えると人の印象は変わる
当初は黒田大輔と気づかなかったがよく観たら黒田大輔だった
役作りで丸めたんだろうな

荻上直子監督作品といえば小林聡美とかもたいまさこだけどそれはもう昔の話だね

配役
引っ越し沢田水産工業で働き始めたハイツムコリッタの住人の山田たけしに松山ケンイチ
ハイツムコリッタで山田の隣に住んでいる図々しいミニマリスト島田幸三にムロツヨシ
5年前に夫を癌で喪くし女手一つで娘を育てるためハイツムコリッタの大家として生計を立てている南詩織に満島ひかり
沢田水産工業で働くベテラン社員で余計なこと言わない中島に江口のりこ
山田の父の遺骨を手渡した担当の市役所社会福祉課職員の堤下靖男に柄本佑
丘の上の大きなお屋敷に住み犬を溺愛している大橋に田中美佐子
島田の幼馴染で坊主のガンちゃんに黒田大輔
命の電話相談員に薬師丸ひろ子
タクシーの運転手に笹野高史
イカの塩辛を製造している沢田水産工業社長沢田に緒形直人
幼い息子と2人で墓石の訪問販売をしている溝口健一に吉岡秀隆

野川新栄