劇場公開日 2022年2月4日

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「☆☆☆★★ コミニケーションの大事さ 今の若い人には分からないかも...」再会の奈良 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5☆☆☆★★ コミニケーションの大事さ 今の若い人には分からないかも...

2024年3月21日
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☆☆☆★★

コミニケーションの大事さ

今の若い人には分からないかも知れないのですが。その昔には何度も中国から残留邦人の人達が来日し、家族との再会を果たすのをテレビで報道されていた。

最初の時は感動の物語として報道されてはいたのですが。やがて色々と、《その後の物語》が噂として伝わり始める。
曰く、お金目当てで話を合わせている…とか。本当の家族ではあるのだが、どうしても歳月の隙間を埋めるまでは至らずにその後は再び別れて暮らす様になる…等。そこにはどうしても、言葉でコミニケーションが出来ない事に起因する大きな障壁があった。

やがてこの残留邦人の来日は無くなった。

人の良い吉澤役の國村隼は、中国から来たお婆さんの人探しに協力する。
でも言葉の通じる通訳を兼ねる若い娘が居る間は良いのだが。お婆さんと2人だけになると言葉の壁が出来てしまい気まずい雰囲気になってしまう。

この2人がベンチに座り、正面から撮られた場面。
気まずい2人…だがやがてこの2人はお互いの写真であり、娘のお小遣い稼ぎのある小物を使ってのコミニケーションを取ろうとする。
大袈裟に言ってしまうと。これこそが、お互いがお互いを気遣って起こす行動原理によってもたらされる。国と国との間に隠れている障壁が取り除かれる瞬間を切り取っているとも言えないだろうか。

その後には河瀬組の常連でもある〝 あの人 〟が登場する。
彼は今回、一見すると1番コミニケーションを取るのには苦労しそうな役どころの様に見える。
しかし彼は、そんな予想を軽々と超え。自らコミニケーションを取るツールを使いこなし、積極的に協力してくれていた。
それもそのはずで。彼は自分の弱点を知るからこそ、自ら相手の中に飛び込んで行く術を心得ていたのだろう。

最終的に映画本編は、ある結果を提示して唐突気味に終わる。
その直前には、観客側に多少の《希望の光》を示してはいたが、、、
ある歌姫の歌声が高らかに鳴り響くスクリーンを見つめながら、何とも言えない喪失感とやるせなさを思い返しながら帰路に着く。

2022年2月5日 キネマ旬報シアター/スクリーン2

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松井の天井直撃ホームラン