オキナワ サントス

劇場公開日:

オキナワ サントス

解説

「花と兵隊」でタイやビルマの未帰還兵たちの現在を追った松林要樹監督が、第2次世界大戦時のブラジルであった日系移民強制退去事件をひも解きながら、埋もれた史実を明らかにしていくドキュメンタリー。第2次世界大戦前夜から戦中にかけ、ブラジルのジェトゥリオ・ドルネレス・バルガス政権は枢軸国にルーツを持つ約20万人の日系移民に対し、日本語新聞の廃刊や日本語学校の閉鎖、公の場での日本語の使用禁止などを命じる。そして1943年7月8日、南東部の港町サントスに暮らす日系とドイツ系の移民が強制退去させられ、収容所に送られるなどしてコミュニティは離散した。しかし、この出来事はタブー視され、戦後長らく日系人社会で語られることがなかった。強制退去させられた日系人の多くが沖縄からの移民だった事実に着目した松林監督は、生存者に取材を重ね、知られざる歴史を明らかにしていく。2020年・第21回東京フィルメックスのコンペティション部門出品作品。

2020年製作/90分/G/日本
配給:東風
劇場公開日:2021年8月7日

スタッフ・キャスト

監督
撮影
松林要樹
編集
松林要樹
カラーコレクション
中谷駿吾
整音
川上拓也
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映画レビュー

2.0ブラジルサントスの香りさえ感じられなかった

2021年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 コーヒー専門店ではメニューに「ブラジル」ではなく「ブラジルサントス」と書かれている。サントスはブラジルがコーヒーを出荷する港である。サンパウロから車で2時間程度。ブラジルにとって重要な港湾都市だ。

 本作品は第二次大戦中から戦後にかけてサントスにいた日本人が差別されてサントスからの退去を命じられたという話である。ファシストのヴァルガス大統領が連合国側に参戦して枢軸国側の日本が敵になった。だから日本人が排斥された訳だが、その事実を示す書類などは残っていないらしい。ただ2枚の写真があるだけだ。どうやら電車でサンパウロに行ったみたいである。
 そこで当時のことを記憶しているかもしれない人にインタビューをするのだが、なにせ当時子供だったから、漠然とした印象や具体的すぎる記憶があるだけで、一向に全体像が見えてこない。全体像が見えないまま、映画は終わってしまう。せめて歴史的な背景でも解説してくれればよかったのだが、インタビューを並べるだけのドキュメンタリーになってしまった。排斥された日本人の悲哀も伝わらない。作品に対して何の感情も湧かなかったことに加えて、映画からブラジルサントスの香りさえ感じられなかったのも、あわせて残念である。

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耶馬英彦

3.5当時、就学前後の子供だった当事者が語るドキュメンタリー

2021年8月10日
iPhoneアプリから投稿

ブラジルのサントスからサンパウロの収容所へ送られてる日本人の話。ブラジルから迫害を受け、同じ日本人なのに侮蔑される沖縄人、戦争に勝った負けたで同胞同士でテロを起こす。サントス事件だけでなく、当時の様々な差別や争いを証言から知ることが出来た。
そしてインタビューに応じたとある家族から後日連絡が入り、自分たちの証言は使わないでくれと…闇は深い、未だに続いている。

はっきりした回答が得られるわけじゃ無いけど興味深かったです。

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Oyster Boy

0.5中身スカスカのインタビュー集

2021年8月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

どんなまだ見ぬ史実や現実を見せてくれるのか?どんな考察を提示してくれるのか?勉強のつもりで期待の鑑賞でしたが、ドキュメンタリーのカテゴリで初めてガッカリした作品でした。

これは何を見せられているんだろう?本作で知ることができる内容は映画チラシに書いてあることだけではないでしょうか?大変な想いをされたのだろうことはわかりますが、「で?」です。強制退去時の記憶のインタビューがただ流れるだけ。

強制退去が移民の方々にとって、過去、現在ではどんな位置付けなのか?すらわからない。最後にちょっぴり報告ありますが。だとするなら、名簿が見つかったことがどれだけ意味があることか?もわからない。

日本から取材したい人がきたから協力しました、って映像にしか見えません。だから、観るものに何にも訴えてきません。この監督は一体何を映像化したかったのか?疑問です。

別に事件が見たい訳でも不当な盛り上がりが欲しい訳でもありません。大変な思いしたんだね?って事で終わってよいのだろうか?と協力されたサントス沖縄県人会の方々に申し訳ない気持ちで一杯になりました。

当時の移民社会の(問題)事は「闇が深い」で終わらせてるし、移民自体の歴史を深堀するわけでもないし、バックボーンが何にも描かれないドキュメントなんてスカスカのインタビュー集です。戦場になった経験がある沖縄県人の移民だからこその歴史があっただろうし、そこに発生した強制退去がもたらしたものもあったはず。
このあたりを本作の制作者は描いていない。

なんだかな、夏休みの自由研究の発表みたいな作品でした。駄作。

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バリカタ

2.0無謀なドキュメンタリー

2021年8月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ほぼインタビューだけでダラダラと構成された、悪い典型と言えるドキュメンタリー映画であった。
インタビューのみであっても、映画「福島は語る」のような大傑作がごくまれに存在するが、この種の作品はほとんどが残念作だ。

時の独裁的なヴァルガス政権は、連合国側についたため、第二次大戦中に日本はブラジルの“敵国”となったようだ。
そして、1943年7月にサントスの日系移民に「強制退去」命令が下る。
(なお、ブラジルが連合国として独伊に宣戦布告したのは1942年8月だが、日本への宣戦布告はなんと1945年6月らしい。)
とりあえず、ここまでは“理解できるような気”がする。

しかし、「強制退去」後の実態が、さっぱり分からないのだ。
証言者が何人も出てくるが、みな「強制退去」の時のエピソードしか話さない。
「強制退去」後に、日系人がどこでどういう風に暮らしたのか、終戦後、生活基盤を一時的に喪失した日系人の生活再建がどうだったのかなど、映画の“メインテーマ”と言えるべきことが、ほとんど何も証言されない。
(必ずしも「強制退去」イコール「強制収容」ではないようだ。収容所の建物跡の映像が出てくるものの、アメリカのようにフェンスで遮断された隔離施設だったという話は出てこなかったと記憶する。)

戦前から続く日系人に対する「人種差別」の話や、戦後の「勝ち負け抗争」という、敗戦を認める日系人と認めない日系人の間のテロ闘争の話が出てくるが、本作品のテーマに即して掘り下げられるわけではない。
また、サントスへの移民は沖縄県出身が多かったとのことだが、ではサントス以外の日系人の「強制退去」はどうだったのか、全く触れられない。
“分からないこと尽くし”なのである。

歴史の“タブー”であるため、資料がほとんど無いらしい。1980年代からいくらか話されるようになったようだが、依然として謎は謎のままのようだ。
また、証言者も「強制退去」時には、まだほとんど小学生であり、証言者たる資格すら怪しい。
「オキナワ サントス」とテーマ設定したものの、「知られざる歴史を明らかに」することなど不可能な、“無謀”な取り組みのドキュメンタリーなのかもしれない。

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Imperator

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