サマーフィルムにのってのレビュー・感想・評価
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未来じゃなくて今を憂えよ
全然面白くない!とは思わなかったのですが、壊滅的な点があったのでそれだけ書きます。
①主人公に魅力がない
主人公=ハダシ です。
これは観た方全員が思ったでしょうが、
「時代劇=映画」じゃねえ!!!!!!!
彼女が好きなのは時代劇映画であって映画全般ではない。
(加えて言うと地上波とかの時代劇も好きじゃなさそう)
なのに、「未来に映画がないこと」にあれだけのダメージを受けるわけですよ。
おいおいちょっと待てと。そもそも現在時点において時代劇は絶滅しかけているだろなぜその点に言及しないのか、と。
地上波では放送せず、劇場でもほぼ無く、専門チャンネルくらいでしか残っていない現在のことを先ず憂うべきだよ。。。
このあたりが時代劇→映画とごまかした制作陣のツケを払わされていて、主人公像の浅さにつながっています。
根底に映画愛がない(時代劇愛はある)キャラクターになってしまっている。
そんな彼女を象徴するかのように人望がない。
映画部でコンペしたときに彼女の作品には彼女しか投票していないんです。
映画部なんてあんなキラキラしたカースト上位の人間ばかりで構成されるわけないのだから、
花鈴のこと嫌いな人間もいるわけですよ。
でもハダシには票が入らない。別のベクトルで浮いていて人望がないから。
なんであんなにスタッフ・キャストを集められるかが謎ですね。
(好意的に補完するなら、ブルーハワイにめちゃくちゃ人望があるためですが。。。)
ハダシ監督についてくる理由がよく分かりません。
②やりたいことが多すぎる
結局なにを伝えたかったのでしょうか。
青春、恋愛、SF、メッセージ...
個人的には
業界の方の、各種動画サイト隆盛に対する(くだらねえ)メッセージが根底にあると思っています。
だから時代劇愛を映画愛にすり替えたりして薄っぺらくなる。
あとは青春だからと言って色々盛り込みすぎ。焦点を絞ってくれ。
例えば、恋愛でもいいのですが、
憧憬・尊敬(凛太郎→ハダシ)に対する恋愛感情の勘違い(ハダシ→凛太郎)とか、興味と恋愛感情の誤認(ビート板→凛太郎)とかの、
恋に恋するお年頃ならではの感じをやるならきっちり描写しなければいけないのに、あの程度で済ますからぼやける。。。
さいごに、
役者の演技に違和感があったり、台詞で説明しすぎるところは「高校生が撮った映画」についてのメタ構造でしょうか。それならば演出としては良いなと思いました。
脇役の絡みや、音楽がよかっただけに残念です。(なんで脇役にはうまくキャラ付けできているのに主役はああなるの?)
こんな映画が観たかったんだ
こんな楽しい元気な映画が観たかったんだ(最近シリアスな内容の作品ばかり鑑賞していたせいもあって)。
“ハダシ”監督、いい味だしてました。表情豊かで、さすがだった。
タイムマシンとかなしで、女子高生の時代劇愛をシンプルに描いてもよかったんじゃないかとも思ったけれど……いやいや、今日はもうグダグダ言うのはやめよう。
青春の輝き、情熱、切なさ、そして意表を突くラスト・シーン。
正しいことも大事だけど、楽しいことも大事ですね!
映画愛、届きましたよ。
さあ、おれもやるで~!!
追伸
僕は“ビート板”が好きです♡
あと、主題歌も好き♫
(恐らく)日本特有である“ヘタウマ”文化
今回は、作品よりもタイトルにした“ヘタウマ”という言葉についての思いを重点に書いて行きます。
この言葉に馴染みがない人にも、いつもの様にウィキで簡単に説明しておくと、
***
・創作活動(なかんずくサブカルチャー)において技巧の稚拙さ(つまり「ヘタ」)が、かえって個性や味(つまり「ウマい」)となっている様を指す言葉。
・技術が下手で美術的センス、感覚がうまい、つまり技巧的には下手であるが人を惹きつけて止まない魅力があるものを指す。
・ただし、稚拙さを技術不足ととるか、計算や個性、あるいは味と捉えるかは、受け手の主観によるところが大きいため明確な定義は存在しない。
・そのためか「ヘタヘタ」という表現も存在する。
***
とあります。
この言葉が日本特有の言葉なのか、世界にも類似語かあるのかは分かりませんし、芸術の分野で考えると例えば絵画での印象派の登場した時や、ピカソのキュビズムにしても、同じ様に扱われた時期もありますが、今回は日本での高度成長期位の漫画から生まれたこの言葉に限定して考えて行きたいと思いますが、個人的には作り手の確信犯的“狙い”が見えたら“ヘタウマ”作品と呼んでいます。特に日本の文化面では漫画に限らず大きな特徴の一つだとも思っています。
さて本作についてですが、予告編だけ観ていたら今の私なら鑑賞しなかったと思いますが、凄く評判が良かったのでつい惹かれて観に行ってしまいました。
本作を鑑賞して、評判の高さに対して「ああ、なるほどな」と思えましたが、私はまず数年前にブームになった『カメラを止めるな』(以降『カメ止め』と表記)との共通性を感じていました。
映画評でのお決まりの否定文で「まるで、自主映画の様な」とか「映研の学生が作った様な」という文章をよく見かけ、一見した感じ低予算の稚拙でチープで独りよがりな作品に対してよく使われる言葉ですが、2作品共まずそういう批判を受けそうな作りであり、それを逆手に取って映画製作の色々な制約や弊害を観客に認識させることによりハードルを下げ、映画本来の制作動機やメッセージだけを強く訴えることに徹した作品作りを行っていたようなので、本作も久々のヘタウマ作品だと思えました。
私は『カメ止め』の感想で日本版『アメリカの夜』と評しましたが、本作のテーマも同様で、あえて映画好きの心をくすぐる様な映画制作の物語にして“映画愛”を訴える作品作りは全く一緒でしたね。
但し、これが本当に下手な作品なら評判にはならない訳ですが、ここに“ヘタウマ”というテクニックを使い、作り手の根底にあるメッセージを観客にストレートに伝えカタルシスを味合わせるという作品であり、こういう作品こそガラパゴス化と言われる、今の最も日本映画らしい特徴の一つの様な気がします。
ハダシの名演
遅ればせながら観ました。
もっと早く観れば良かった。
ハダシの名演が素晴らしい。
勝ちとか、負けとかいう要素も吹き飛ばす勢いに圧倒されました。
モヤモヤした気分の時はこれを観てスッキリできます。
青春の勢いと、純粋さ光る映画です。
俳優陣のこれからの活躍を期待。
追伸
この女優さんはアイドルだったんだ。
知らなかった、驚き。
爽やかな佳作
オープニングが「なんだこれ」と思うんだけど、劇中作のなんだこれ映画のオープニングだったの。面白いと思ったけど、やっぱりなんだこれ感は出るから、どうなんだろう。
キャラ説明してくところは分かりやすくていいの。「ハダシ」「ビート板」ってやや強引な呼びかけが続いたり、そこから時代劇好きのシーンにもっていって、ブルーハワイ含めた三人の関係説明があって。
「これ、学園の面白エピソード紹介?」っていう浮いたシーンがあるんだけど、「面白いからいいか」と観てたら録音部、照明部の説明だったのも、いいなと思ったよ。
そして凛太郎と出会って「ハダシ監督!」って言っちゃうところもいい。追い掛けっ子は青春っぽくていい。
それで、なんやかんやで映画を撮り始めて……ってところが面白かったな。
それで、あっさり凛太郎がタイムトラベラーだって分かるんだけど、ここから先は、あるある展開で進んでいくから、そんなに興奮して観る感じではなくなったかな。
主演の女子高生三人が良かったな。特に伊藤万理華。表情の変化がすごい。なんでアイドルグループにいたんだろうという。
ビート板の河合優実は「門脇麦?」という感じもあるんだけど、オタク感が良かった。
ブルーハワイ役の祷キララはいいね。演技はできない感じがしたけど、存在感あって良かった。
脚本がロロ主宰の人だからか、自然な感じの台詞が良かったな。その中にベタなキメ台詞も入れてきて。今は戯曲の人が書く脚本がいいかもね。
シーン展開は強引というか、心情変化のところをきれいなシーンで押し切ってるんだよね。そこもまたこの作品としては良かった。
けっこうボーッと観る感じの映画で「MOOSIC LABっぽいな」と思ったら企画協力に直井さん入ってた。これ系の映画は面白いから、これからも観ると思うけど、ちょっと食傷気味のところもあるな。
時代劇×SF×青春なのに、まとまってる
タイトルとキャスト見ても、全然知らないなと思いつつ、映画のレビューは高めだったので鑑賞
時代劇×青春×SF(未来人)っていう、まとまらなそうな雰囲気もあるのに、上手いこといってるなぁと。
若手のキャストは、ほぼ初めて見るけど、それがいいのかなと。
主人公達は、ボーイシュでオタク系
隣に、更にオタクっぽいメガネ女子とスポーツウーマン
男の方は、野球部の補欠の二人組にヤンキーと、無駄にテンションの高いマッチョ
無理やり仲間にされても、嫌と言わず協力するのが青春っぽい(笑)
女の子3人組の恋愛模様もあるし、
相手がモデル系だから、分かりやすい青春ものの対立なんだけど、
悪い人は出てこないのがいいね
未来から来るタイムパラドックスにそれほど驚きもないのが今時だし(笑)
演劇は苦手なんだけど、映画部の作品だから見れるのか、素人っぽさがそうさせるのか。
こういうのが青春なんだなぁって。
タイトルからして、確かにもっと真夏の昼間に見たかった(笑)
撮影がスマホで、パソコンで編集が当たり前なんだなぁと😁
勝新太郎とか三船敏郎は知ってるけど、映画までは詳しく知らないから、その知識あれば序盤からもっと面白く見れるのかなと
エモくて尊いひと夏の青春
人生を大きく変えることになる高校生の夏を描く物語にSF要素と映画愛が加わることで新鮮さとエモさが増幅した素敵な青春ムービー。
イケてない方に属する負け組系主人公たちが、映画を愛する熱い主人公に引っ張られながらひと夏を映画制作に捧げる姿が、眩しくて尊くて、あらゆるシーンで涙が溢れました。
今年の夏の映画、青春部門はこれだな。
役者陣が魅力的
主演の伊藤万理華さんが活発で、実年齢はもっと高いようですが、全く違和感がない。居ると楽しくなる存在感が気持ちいい。メガネが似合う河合さん、剣道部のスッキリした顔つきはどこかで見たなと思ったらあの「ハッピーアワー」で息子の彼女役の祷キララさんじゃありませんか。5年ぐらいたったかと思いますが印象は全く変わらないですね。映画の未来を女子高生に託すのは余りに荷が重いけれど、それぐらいの飛躍はあっていい。私も高校生の時に友達の映画に出演者したけれど、まだ観たことがない。
映画を作ることについての映画は、今年アニメで「映画大好きポンポさん」という作品(キネマの神様もあてはまる)があったが、ポンポさんは撮影所システムにリスペクトを捧げて、終盤で監督の覚悟が描かれたが、こちらは時代劇で、映画の未来を背負う。どちらも面白い。
一部、キラキラ青春映画を揶揄するようなシーンがあるけれど、高校生の映画であんなに大人数を指揮できる時点ですごいなと思ってしまう。
編集シーンにやけのはらが流れていたけれど、書き下ろしなのかな
青春はいいですね
楽しかったです。
色々な要素が詰まってて
映画好きには満足なお話でした!
メインの女の子3人、とても良かったです。
ちゃんとなにげに恋してるってのも青春でいいですね。
スマホで映画撮れちゃう時代、おじさんの私は羨ましい限りです。
こんな青春時代、過ごしたいですね。
それこそタイムスリップでもしてね(笑)
”映画”への良いセリフがあるからこそ……気になる部分が許容できなかった
タイムスリップ+映画作り+青春。
好きなポイントはあるものの全体では正直かなり微妙。
特にキャラの距離感がチグハグなのが気になった。敬語タメ語がコロコロ変わる。
仲間になる、仲良くなっていく過程も雑で……うーむ、違和感が。
”映画”に対しての良いセリフもある。”映画っていいよな”って改めて思わせてくれる言葉。そこは好き。
ただ”映画”をテーマにした話なのに、本作自体が映画として微妙な気が……。
先述の口調だったり、描写の丁寧さだったり。
キャラが映画とは?を語るほど荒が際立つ。
展開も中盤はよかったのだけど前半、後半は自分には合わず。
”映画”への良いセリフがあるからこそ……最後まで曲げないで描いてほしかった。余計に歯がゆい。
その展開にすると語ってきたモノがパーになるんじゃ?
丁寧に描けばアリかもだけど表現不足に感じてしまった。
このまま書くとマイナス批評ばかりになってしまいそうなのでここくらいで。
や、ここまでネガティブな感想ばかりになるとは自分でも思わなかった。
光るモノがあるからこそ気になる部分を許容できませんでした。
板橋 駿谷さん(37)が老けた顔の高校生役を演じてるのは面白かった。
いや、あれは高校生を演じる気がないな笑
全編
主題が学生が文化祭での映画製作という事なので、映画の画像の粗さや、役者の新鮮さ等々が全編通して感じられました。ストーリーもダラダラしない感じでの展開であったので、その面でも観やすかったです。未来から来た人が隣にいても、驚きもしない感じが今の子達なのでしょうか?
演出が、演技演技してて無理でした。見ててなんか恥ずかしかった。 コ...
演出が、演技演技してて無理でした。見ててなんか恥ずかしかった。
コメディ映画なら許せる演技というか、、めっちゃみんな芝居してたね。
前評判に惹かれて見ました!
主演が元48グループの何とかさんらしいのですが、全くの初見でした。
時代劇オタクの役柄通りのルックス(失礼!)で、違和感は無かったです♪
最初見た時はコメディアンの吉住さんかと思いましたが…
ラストの撮り直しシーン含めて映画として完成させて、監督のデビュー作として…いや、でもなぜデビュー作は削除されたんでしょうか?
タイムトラベラーの青年と出逢ってなかったから?
そうすると、青年のその後も気になりますし、そもそもヒロインがどのように有名監督になったのかも気になりますね!
エンドロール後もエピローグがまだあるもんだとちょっと待ってしまいました
全部入りなのに最後まで最高な気分にさせてくれる青春ムービーでした!
今日は朝から全てが時間通りに進行した奇跡の日だったので、久々に映画を観る時間が出来ました!
すぐに映画.comのアプリで観たい映画ですぐ観ることのできる映画をチョイス。
ずっと観たかった話題作『#サマーフィルムにのって』を鑑賞してきました!
今夏、映画制作を題材にした映画が多く、これもその中の1本。まぁよくある青春映画制作ムービーかなと思ったら、キラキラ恋愛、時代劇、笑い、嫉妬、SF、涙…と盛り沢山の全部入り!
なのに全ては最後のカットに集約されていて最高な青春映画でした!
おすすめ!
パンフレットに後日談の漫画「サマーフィルムにのって あれから」があるので必見ですよ!卒業式の日が舞台です!w
無題です
うーん…昨夏の「アルプススタンドのはしの方」のような清々しさ、リアルな高校生の眩しさ、といったものを期待していたのでちょっと肩透かし。
高校の映画部が映画を作る、と言えばどうしても「桐島、〜」が思い浮かぶしタイトルやタイムスリップの設定から「サマータイム・ブルース」などとも比較してしまうのですが。。
ストーリー、役者さんの演技(もちろん良かった人もいましたが)、演出…どれも拙さが目立ちました。ラストは小っ恥ずかしくて何とも言えない感情に。
時代劇が好きな女子高校生、という設定は面白いし絶対に私好みの作品だと思っていただけにちょっとガッカリしてしまいました。
どうして評価が高いのか、正直わかりません。辛口になってしまってごめんなさい。
ちなみに上にあげた3作品はどれも大好きなんですけどねぇ。残念。
整合性を放棄することで生じる美しさ。こんなもの、大好きってしかいえねーじゃん。
時代劇を愛する女子高生ハダシの、映画制作に燃える一夏の経験を描いたSF青春映画。
主人公のハダシを演じるのは、『あさひなぐ』『映画 賭ケグルイ』の伊藤万理華。
ハダシと同じく、時代劇を愛する青年・凛太郎を演じるのは『ナラタージュ』や『おっさんずラブ』シリーズの金子大地。
ハダシの親友・ビート板を演じるのは『喜劇 愛妻物語』『佐々木、イン、マイマイン』の河合優実。
みんな大好きサマーフィルム。
自分の世代の青春映画といえば『ジュブナイル』『ウォーターボーイズ』『ピンポン』などなど。
親に連れて行ってもらった映画館で、なんとなく観たテレビのロードショーで、少年時代に出会ったサマーフィルムの体験は、まるでプールの水光のような特別な輝きを放っており、今でも宝物となって胸の奥に眠っている。
今考えれば「コレはどうなの?」と首を傾げたくなる作品もあることにはあるのだが、夏の青春映画にはそういう細かいことを無視して楽しめる魔力のようなものが備わっていると思う。
前述した『ウォーターボーイズ』を含め、『うる星やつら2』『リンダリンダリンダ』、近年のコミック&アニメでは『映像研には手を出すな!』など、青春×文化祭というジャンルはより一層エモい。エモエモのエモ。
ロングショットでみれば取るに足らないイベントだが、クローズアップしてみれば最高級の煌めきを放っているのが文化祭。
文化祭準備という起点と、出し物の遂行という終点がはっきりしているという点において、映画などの物語との相性が良いのかな、という気もする。
『座頭市』をはじめとする時代劇への言及や殺陣のモノマネ、「時をかける少女」「夏への扉」と言ったタイムスリップ系SFへの目配せなど、この映画は過去の物語群をサンプリングすることによって成り立っているものだということが、冒頭15分程度で暗示される。
主人公ハダシのルックは、髪型顔立ち服装を含めて『時かけ』の原田知世を意識しているし、タイムマシンを開発した凛太郎の同級生の名前は『BTTF』と同じドク。
細かいところでは、ハダシのライバルである花鈴のセリフ「眼中になかったよ。」
女子高生が「眼中にない」なんて言葉使うか〜?と思われるだろうが、これは『ピンポン』に出てきた主人公ペコのライバル、アクマの発言からの引用なんだろう。
膨大な過去の名作をモチーフにして新しい作品を作り上げ、それを未来へと繋いでゆく。
このサンプリングにより作品を構成させるという手法が、本作のキモである「映画=タイムマシン」であるということを体現している。
過去/現在/未来をつなぐものが映画であるという主張を、作品の構造で語るというのはなんとも粋で巧みじゃないですか。
これだけでこの作品、合格〜!💮
「映画=タイムマシン」/「時代劇=ラブ・ストーリー」。
本作はこのような仮説を組み立て、それを証明するような内容の映画となっている。
本作を見事だと思ったのは、この仮説が斬新だったからではない。
この仮説自体は他の作品でも散見されるものである。例えば「時代劇=ラヴ・ストーリー」という考察は、井上雄彦の漫画「バガボンド」で描かれた佐々木小次郎vs猪谷巨雲でのモノローグ「俺たちは 抱き締めるかわりに斬るんだな」を思い起こさせる。
時代劇だけでなく、男vs男の決闘は押し並べて恋愛の匂いが漂う。
ちょうど今『グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』というドラマもやってるしね。
ロッキーとアポロなんて、あれはもうほとんどSEXだしね。2人の間にはアドニスという息子も生まれているしね。
話を本筋に戻します💦
本作が優れているのは、これをみた観客が「なるほど!たしかに!」と膝を打ってしまうほど、この証明が見事に成し遂げられているため。
「時代劇=ラヴ・ストーリー」ということを説得力を持って伝えるだけでも難しいのに、そこに「映画=タイムマシン」という仮説の証明を同時に行なってしまう。しかも作品のランタイムはたった97分。
これはもう見事というしかない。単純に巧い!
賛否が分かれるであろうクライマックス。
自分はなんやかんやで2回も観てしまったのだが、1回目はこのラストに首をひねってしまった。
いやこれ最後演劇になっとるやないかい…😅
映画を途中で打ち切るなんて、わざわざ自分の時間を割いてまで観に来てくれている観客に対して失礼だろっ!
大体、映画部のヤツらアドリブ利きすぎだろうが!めちゃめちゃ訓練しているやつの動きじゃん!
とか思った。
しかし2回目で感想が変わった。
ハダシと花鈴の会話での「美しくなくても想いを伝えた方が良い」というやり取りが、作品のカタストロフ的クライマックスの布石になっていたことに気付いたから。
ここでいう美しさとは「整合性が取れている」ということ。
整合性の放棄こそが真に美しいものを生み出すかもね…、という「リンダリンダ」的ドブネズミ美学を最後に持ってくるという大胆さこそがこの作品の魅力であると気付きました!
このエンディングでは作品全体のバランスが崩れてしまう、ということは承知の上でのトライだったのでしょう。
ただただ奇策を打って出るのではなく、ちゃんと前フリをしているという周到さに非常に好感が持てるし、それが上手く作用している。このエンディングはアリ!
このエンディングで、映画部の面々が刀の代わりに持っているのがホウキやモップであるというのもポイント。
我が心の師、甲本ヒロトの言葉「ホウキでもいいんだ ギター持ってなくてさ ロックンロールに憧れて教室の隅っこでワァーってなる すっげぇ楽しいんだ そこがゴールです そっからどこにも行かないよ」をトレースするかのような、この初期衝動の爆発!💥
最後の最後にチャンバラごっこを持ってきて、「時代劇はホウキとモップでのチャンバラがスタートにしてゴール」という、歳をとるにつれて忘れていた感情を思い起こさせてくれる。
このクライマックスには、チャンバラに対する愛情が詰まってる、それが熱いのだ!❤️🔥
あと細かいところで良かったと思うのは海のシーン🏖
青春映画で、こんなに天気の悪くて寒そうな海辺のシーンは中々お目にかかれない!
日本海かっ!ってぐらい暗い暗いロケーションだったもん。
ハダシが打ちひしがれているシーンだから、ここは暗い海で正解🙆♂️
最終日での撮影シーンだけは明るい海でも良いんじゃ?とも思ったけど、結局ここでもまだハダシの逡巡は終わっていないんだから、やっぱり暗い海で正解なんだろう。…単純に海のシーンを一日で纏めて撮影したからという可能性もあるけど。
なんか小難しいことをグダグダ書いてしまったけど、単純に主要キャストが最高だった!
特にハダシを演じた伊藤万理華さん。元乃木坂の人なんですねー。全然元アイドルに見えない💦
伊藤万理華さんの演技がバツグンに良かった!このキャスティングをした時点で優勝決定🏆
今後もっと活躍の場が広がっていく女優さんな気がする。こんなにエアマックスとバックパックが似合う女性なかなかいないっす!
脇役ではダディボーイを演じた板橋駿谷が最高っ!
これはもう日本アカデミー賞の助演男優賞は決まりでしょう笑
実年齢37歳なのにちゃんと高校生に見える!凄い!
この役者さんも、もっともっと売れて欲しいなぁ。
青春映画の細かいアラに突っ込むのもヤボだとは思うんだけど、全体的に完成度が高い映画なだけに、ちょっとした残念ポイントが余計に目立ってしまう。
冒頭、ハダシと凛太郎が橋から川に飛びこむシーン。この水深がいくらなんでも浅すぎる。これじゃ死にますよ💀
引っ越し業者でバイトするシーン。段ボールから重量が感じられず、なんかこれ中身が詰まっていないんじゃないの?とか思ってしまった。ここはもう少しリアルな引っ越し荷物感が欲しい。
あと最後の上映会のシーン。いくらなんでも観客少なすぎるだろ(まぁこれはリアルといえばリアルだけど)。
低予算映画ゆえの、モブシーンの苦しさか。
タイムトラベルの説明が凄く雑で薄いことも気になったが、どんな映画でもタイムトラベルの説明って大なり小なり違和感があるものなので、ここはむしろ好感が持てた。
むしろ一切の説明を省き、俺はタイムトラベラーだ!ドンッ!くらいの開き直りでもよかったかも。
それよりもビート板があまりにも早く凛太郎の正体に気付いていたこと、そしてそれを受け入れていたことが気になる。
ちょっと言動がおかしいヤツに対して、あんた未来から来たでしょ、なんて思うかフツー?
ビート板の描写はもしかしたら結構脚本から削られたのかな、なんて思ったりもする。
本来はもっとビート板とドクの交流とかを描く予定だったんじゃないかな?ドクが最後現代にやってきたのはその名残だったりして。
物語上で一番飲み込み辛かったのは、未来には映画を作る奴も観る奴も居なくなっているということを知り、ハダシが打ちひしがれるところ。
凛太郎が何年先の未来から来たのかはわからないが、クレープもマシュマロも知らないという事から考えると、かなり未来から来たのだろう。
もしかしたら、そういう甘味類が容易に手に入りにくい、ディストピア的な荒廃した世界になっているのかも。
そんな先の時代なんだから、そりゃ現代とは娯楽の形は変わってるだろう。それが当たり前。
これをハダシが未来に対して絶望するという展開に繋げるのはちょっと無理があるでしょう。
ハダシと凛太郎の関係性が変わるという展開を描きたいが為に、無理矢理問題を提起したような感じがするのでここには結構違和感を覚えたなぁ。
キャストはかなり良いと思う。だからこそ音響担当の2人のキャラ薄すぎ問題が目に付く。
こんなに薄いキャラクターなら別に2人も要らんのでは?
ハダシチームのキャラの濃さには明らかに差がある。そりゃ全員ダディボーイ級のパンチ力があった方が良い、とまでは言わないが、この2人に関してはもうちょっと華のある役者と性格を用意してあげるべきだったと思う。
気になるところも勿論あるが、そもそもがかなり無理な設定に挑戦している作品なのだから、ある程度は仕方ない。
そこを差し引いても、日本映画史に新たな青春映画の名作が刻みこまれたのは間違いないと思う。
気怠げなイけてない高校生。一夏のボーイミーツガール。爆発する初期衝動。仲間との絆。成長する少年少女たち。好きなものは好きなのだと、声高に主張する傍若無人さ。
青春映画に求める全てがここにはある!
さぁサマーフィルムにのって、タイムトラベルに出掛けよう♪
53テイクもできることが羨ましい
高校の文化祭作品に53テイクかけられることに時代を感じるなあ。昔なら8ミリフィルムがもったいなくてNG黙殺、何か映り込んでもギャグにしてたな。IT化でむしろ効率は落ちるのか……。「賭ケグルイ」で不完全燃焼気味だった伊藤万理華の活躍も嬉しいが、クール一辺倒と思った金子大地がこんな演技もできるのに驚き。登場シーンでは全く別人かと思った。
惜しいのはラストシーンかなぁ。映像作りに魂をかけてる主人公たちがアッサリ上映をぶった斬るところに違和感というか、この作品そんなモンだったの?という残念な後味が残った。
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