劇場公開日 2021年3月26日

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「日本人、日本社会への強烈な風刺と問題提起か?」きまじめ楽隊のぼんやり戦争 まる Maruさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日本人、日本社会への強烈な風刺と問題提起か?

2021年9月14日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

幸せ

 この作品を鑑賞してから、既に5か月が経過しましたが、今年のナンバーワン作品になりつつあります。
 最初は出演者たちの独特な演技に???という感じでしたが、話が進むにつれてニヤニヤというような感じに変わり、終盤には「これはもの凄い作品に出会ってしまったかも」という印象になり、鑑賞後には完全に打ちのめされると共に、何とも言えない空恐ろしさと、しかしながら満足度と感心する気持ちに満ち溢れながら、映画館を後にしました。
 この作品で描かれている、決められたマニュアルどおりにしか行動できず、臭いものには蓋をして排除し、「なぜ?」という疑問を持たずに暮らしている人々やその人々によって成り立っている社会は、今の日本人や日本社会への強烈な風刺と問題提起ではないかと、私には思えてなりません。
 今般のコロナ騒ぎでも露呈しましたが、騒ぎ当初からの自粛警察、マスク警察等の愚行は、各種の自粛要請やマスク着用推奨という、当局が決めたマニュアルどおりに行動することだけで安心し、その安心を揺るがす自分と同じ行動をしない人々や陽性になってしまった人々の存在を許せず、挙句の果てにそういう人々を排除すべく、目も当てられないよう誹謗中傷や差別や人権侵害を平然とやってのけるという、日本人や日本社会の不寛容、不道徳、不条理、未成熟、残酷さ、無思考、無疑問等は、この作品で描かれているものと、軌を一にするように思えます。
 作品の最後に描かれた事象は、そういう愚を続けると、こういうことになりかねないよ、という痛烈でありながら、他方でそれに気付く事ができれば希望もあるよ、という我々へのメッセージと、私は捉えました。
 かなり癖のある作品であることは間違い無いので、共感できない方々も多いでしょうが、ぜひ多くの方々に観て頂いて、そのうちの一部の方にとってだけでも、色々と考える機会になれば良いと思っています。
 なお、ワクチンの完全接種率が半数を超えたようですが、やはり今度は、ワクチンを接種しない、接種できない方々へのワクチン警察、ワクチン差別が始まる兆候が見えて来ているようで、改めてこの作品の問題提起を噛み締めたいと考えています。

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