劇場公開日 2022年1月14日

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「なくしたのは夢?愛?それとも…」ポプラン 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5なくしたのは夢?愛?それとも…

2022年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

当たり前のように身近にあり、それゆえあたかも存在しないかのようにぞんざいに扱い、あるいはないがしろにし、失った後に初めてその大切さに気づく。一見ばかばかしくて下品な「自分の元を去っていった男性器を探す旅」には、長く生きていくうちに見失ってしまった大事なもの、離れてしまったかけがえのない人を思い出し、“自身”を取り戻そうとする営みが重ねられていく。

性器のことを“シンボル”と呼んだりもするけれど、本作におけるイチモツはまさに、身近すぎてその真価を見失いがちなものの象徴だ。

徳永えりが演じる元妻が、訪ねてきた主人公へ別れ際にこやかに放った一言が胸に刺さる。原日出子演じる母が、久しぶりに帰ってきた主人公を玄関で迎えるシーンには涙腺を刺激された。この2つの場面が特に記憶に残っている。

高森 郁哉