劇場公開日 2022年1月14日

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「これが上田監督の本当の実力でしょうね」ポプラン 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5これが上田監督の本当の実力でしょうね

2022年1月20日
PCから投稿

カメ止めの大成功からの流れでスピンオフを監督したり、あたためていた企画が急に実現したり、自分が監督するとともに仲間にも嫁にも監督させてあげたり、コロナ禍で短編合作映画の監督の一人になったり……
あれから色々と監督されていましたがカメ止めブースターが無くなった今、この映画の世間的な評価が純粋な上田監督の実力だと思います
高く評価される人もいると思いますが、個人的な感想を言わせて貰うと上田監督はそのうち消えるんだろうなと思いました
もしくは自主映画からやり直しですね

その理由として、まずアイデア
通称ポプランが飛んで逃げていくというアイデアはかなり面白いと思いますが、昔に「スカイフィッシュの捕まえ方」というスマッシュヒットしたオリジナルビデオシリーズがありまして、そこから着想したのがバレバレです
この時代にまったくオリジナルのアイデアなどありませんから、誰かの名作映画や別ジャンルの何かからヒントを得て自分の映画作品とするのは全然アリなんですが、せめて元ネタは悟られないように作って欲しいと思います
よっぽどのマニアか監督ファンでない限りはパクリ元が分かってしまった時点で醒めますからね
なのに、劇中では何度も何度も「スカイフィッシュ」と言ってるし、そこがもう何だかなぁ……って感じです
カメ止めでもパクリ騒動があったから余計です
俺はパクる監督じゃないんだよ、と自分でアピールしてほしかったと思います
あと、当然のマナーとして元ネタより面白くなくてはいけません
ですが、今作は全然面白くありませんでした
私は一度も笑えませんでした
私以外でも、劇場内で笑い声は一度も聞こえてきませんでした
これでは当たり前にパクる監督、けど元ネタは超えられない監督という印象が拭えません

次に脚本
このアイデアをもっと面白い脚本に出来る脚本家なり監督なりは他に大勢いると感じました
ポプランの会ぐらいで設定をほとんど全部説明してましたけど、その構成がもう最悪です
とりあえず自分のポプランを必死に追い掛ける、アクションの中で小出しに小出しに設定の説明をしてほしかったと思います
最初にゴッソリ説明された時点で、話は停滞するし、こっちの興味は失せてます
それに、6日間というタイムリミットを設定したわりに、タイムサスペンスのフックがどこにも掛かっていません

次に演出
この脚本をもっと面白く演出できる監督は他に大勢いると感じました
コメディなのに全く笑えなかったのは主役が演技下手ということもありますが、そもそもこの主役を選んだのは上田監督ですからフォローできません
コメディなのに全く笑わせることができないって、監督の演出力が欠如してる証拠ですからね
異常事態に巻き込まれた主役のリアクションは下手クソだし、異常な行動をしている主役に対して受け手のリアクションをほとんど使っていないし、受け手の表情で観客は笑っていいかどうか判断すると思いますから、観客は笑っていいか判断出来ずにずっと戸惑うんですよね
あと、感動させようパートが3カ所ありましたが、起業したときの元仲間、元嫁と実の娘、父親と子の3つは多すぎです
テーマが友情、家族愛、父と子の仲直り、3つもあると散漫な話になってしまって共感しづらいし、泣かせようの頻度が多すぎることも結果的に笑いずらくなる原因だと思います

以上が上田監督がそのうち消えると感じた理由でした
いきなりは消えないと思いますけど、これが転けたらさらに低予算映画の監督オファーしか来なくなって、予算が少ないからさらに実力を発揮できなくなって、その負のスパイラルでいずれ消えるでしょうね
個人的にはB級コメディを撮る監督が増えて欲しいのですが、観客の笑いも取れないし、最後にきっちり観客を泣かせられないんだから仕方ないですね

あと上田監督とは関係ないですが、この映画もエイベックス出資でした
この前に観た駄作の「幕が降りたら会いましょう」もエイベックス出資でした
エイベックスはこれからも映画事業に力を入れるんでしょうけど、まず映画を作る才能がある人材を見極められる人をプロデューサーで雇わないと、ずっと駄作しか作れないよと思いました
エイベックスが赤字積み上がって倒産しても、別にどうでもいいですが

東鳩