劇場公開日 2022年6月4日

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ニューオーダーのレビュー・感想・評価

全54件中、1~20件目を表示

3.5日本人の道徳観が有ればこういう凄惨なクーデターは起こらないだろうと...

2024年5月1日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

日本人の道徳観が有ればこういう凄惨なクーデターは起こらないだろうと思う。このクーデターを映像化するには大変だったろうな。

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wamabut

4.5リアルな話し

2024年3月30日
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鑑賞方法:その他

悲しい

怖い

この映画、メキシコの近未来となってますが、これ現実でしょ!って感じました。
丸山ゴンザレスさんがメキシコ、コロンビアによく取材に行ってますが、ほんとに現地の警察に軍が腐ってます。まともな警官、軍人もいますが。コロンビアだったか、鉱山の違法採掘が摘発されたはずが、しばらくするとまた違法採掘されている。抜き打ちで摘発のはずが、数日前には情報が漏れていて、それも警察だったか軍だったか、上層部が漏らしているらしい。
メキシコでも警官の上層部がカルテルと癒着していたり、この映画見てたら、これ現実だよね。と。
『音の谷ラテンアメリカニュース』を見てください。ほんと、麻薬カルテル絡みの◯人、身代金目的の誘拐、ゲリラによる警官殺害、誘拐、少女がレ◯プされて◯された。カルテルの◯害方法が恐ろしい。ここには書けないレベル。
どれだけ毎日人が亡くなっているか。ほんと日本でも沢山事件はおこっていますが、比じゃありませ
ん。丸山ゴンザレスさんがメキシコ行った時、普通に道端に◯体が転がっていました。メキシコのとある女性市長がカルテルに襲われ、旦那さんが亡くなり、市長が重症をおって助かったけど、その後2度目の襲撃で亡くなったと。日本に生まれて良かったと思う反面、他国では日常茶飯事で恐ろしい事がおきているんだ…と考えさせられる映画だなと思いました。

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BON JOVI 最高ラブ

3.0まあ嫌な気分にはなります

2024年3月15日
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最後も口封じで〇〇とか、捕まってレイ〇されるとか嫌な事の連続なんですが特に余韻も無く、うわああああああああって感覚もそこまで無いし、あーそうなっちゃうんだな!くらいの感じでした。
胸糞系の作品ですが韓国の一部の作品に比べると酷い話ではあるけどパンチは弱いですね。

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お主ナトゥはご存じか2世

3.0北野武の近作の緩さが哀しい。

2024年2月25日
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必見。
この重量の悲劇と憎悪の折り重なりが今昔の戦争の火種なら、
私の無邪気な反戦など軽薄軟派。
我が国では起きない(と思いたい)激辛の修羅場。
乾いた暴力の下敷きだろう北野の近作の緩さが哀しい。
首をこのテイストで撮ったなら。
高橋ヨシキ氏推薦作。

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きねまっきい

3.5理不尽で不愉快極まり無い恐怖

2024年1月25日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

物語のダイジェストをオープニングで流す断片的な映像に混乱しながら劇中では映されない場面も数々、本作と同じ製作年のメキシコ映画『息子の面影』と同様に大丈夫か?メキシコという国は!?と半信半疑ながらも不安になる、起こる事柄が理不尽極まりない不愉快さで観ていてイライラしながらも胸糞悪い感情がラストのオチでピークに突入してしまう、非現実的でありながら近い将来の日本が陥りそうな気さえする、戦中、戦後でも有り得たようなそれと近い何かはあったんじゃない??

ミヒャエル・ハネケの『ファニーゲーム』並に救いようの無いショッキングな内容とそれよりも歯痒い下々の叛逆から金持ちの傲慢さ、それだけでは済まない国家権力という悪魔そのものに敵う余地などまるで無く発散できない怒りが込み上げてくる、本作の監督であるミシェル・フランコの作品を初めて観たがハネケみたいに嫌ぁなのばっかり撮る感じなのか?他も観て確かめたくなったり。

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万年 東一

3.5社会問題への注意喚起と、それに対する民主主義的な解決を願う監督による作品

2023年12月24日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

メキシコのリアルな社会課題が描かれていると聞いて映画館へ足を運んだ。
冒頭の結婚パーティーから圧巻。貧富の差、富裕層内での癒着、お金のやり取り、コカインなど薬物との共存、子供に対する親の権力など、リアル。
その上でクーデター。
富裕層から急に身柄を拘束される側になる人々の様子や、クーデターを起こした軍も結果的に権力に癒着していく様子が生々しい。
ミシェル・フランコ監督の民主主義による解決を求める声が詰まった映画だと思う。

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三上結香|映画好きキャリアウーマン

4.0中々の胸糞具合

2023年12月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

ひとつも救いの無いディストピアムービー。
格差の抗議運動が暴徒化、合わせて軍事クーデターという、天国から地獄に急転直下するような作品。
無秩序の中駆け抜けるような全編パニックで、地獄絵図を延々と投げつけれらます。
不快になるようなアイディアがものすごく、ルイヴィトンの店舗前なんて強烈な絵面でした。
派手な演出の中にも、全くありえないことでは無い恐ろしさがありました。
久しぶりに中々の胸糞具合でしたね。

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白波

3.5面白いとは言い切れないが特別さは感じる

2023年11月5日
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鑑賞方法:VOD

これは衝撃的でなかなか興味深い作品ではあるものの、娯楽性という意味では少子物足りないものがあった。

貧困層が富裕層に対して牙を剥く対立の物語ではあるけれど、その奥には暴力による新しい秩序の構築がある。平たく言えばクーデターだ。
これら一連の展開が容赦なく描かれ、一筋の救いもないところが本作の魅力といえよう。

いうなれば、善が悪に蹂躙されるだけの作品だ。
そこに慈悲や躊躇いのような葛藤がないところがすごい。力あるものがさらなる力を手にするため、その障害となるものは全て駆逐する。人間をいとも簡単に処分する。人が人ではない、何か物かのように。

力のない者が淡々と塗りつぶされていく様を見るだけでドラマ性が薄く、すでに書いたように娯楽度は高くない。
それでも、次々に襲いくる容赦のなさに恐怖を感じ、作品に特別さを見出す人の気持は分かる。

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つとみ

4.0ゾンビの出ないゾンビ映画

2023年9月30日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WOWOWでタイトルだけみて、またマンチェ関係の映画だと思って観たら違った。全然バンドとは関係なかった。ゾンビ映画がメタファーとして描いてきたものを、メタファー抜きで直接に富裕層と貧困層の対立として描いたリアルに胸糞悪いパニック映画だった。世界の現実を映し出す意図も明確だし映像も鮮烈、徐々に拡がっていく不穏さもホラー映画として面白かった。しかし統治する体制そのものが悪の根源として描かれたとしても結局のところ『匿名の群衆』が怖ェ〜という印象が1番強烈に残ってしまうのは、映画の伝わり方としてどうなん?、というところもあり、やはり〈人間怖い!〉という映画はゾンビなどのオブラートに包んでもらった方が楽しみやすいな、とは思った。群衆心理が怖いとか人間が醜いってのは重々承知なので、それをそのまま描かれると凄く滅入るというのもあるし…。

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yudutarou

2.5いゃ〜怖いわ

2023年9月16日
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 メキシコでの事件。貧富の差に激怒した貧しい人たちが富裕層を襲う。自宅で結婚のパーティーをしていたマリアン宅に暴徒と化した労働者が侵入し始める。パーティーの最中、あやしげな人が次々に塀を乗り越えて入ってくる。怖いよね〜。すぐに銃を撃ち始め、パーティーに集まった客達を部屋に押し込め、略奪、殺害し放題。貧富の差に苦しい思いをしても、ここの家庭、客達が悪いわけではないのに、そんなことはお構いなし。たまたまパーティーに来た人達は巻き込まれて気の毒。マリアンは元メイドを助けようと家を抜け出していたから難を逃れたが、こちらも地獄。
 軍隊が富裕層を連れていく。助かるのかと思ったらとんでもない。監禁されて、ビデオを撮らされ、身代金を要求する。同じ国の国民同士で、ここまでするか、、、
 男も女も関係なくみんなの前での集団暴行、暴力。男も女もごちゃ混ぜで裸にされてシャワー浴びて、といっても水をかけられているだけよようだが。
 人権も何もない。やりたい放題。軍人がこんなことしていいのか?身代金を受け取りに行った数人は処刑されていたが、もっと大勢処罰されるべきだろう。
 同じ国民なのに、なぜ軍人もここまで残酷になれるのか。暴徒と化した人々も我慢の限界だったんだろうが、怒りの矛先が違うのでは?

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アンディぴっと

3.5ただの“胸糞映画”と言うなかれ

2023年8月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

話題になっていた様なので何気に借りて見たが、いやぁ~久々に落ち込む作品を見てしまった。
いや、映画的にダメな作品という意味ではなく、むしろ凄い作品ではあるし映画史的にも非常に重要な作品であると思います。
で、本作を一口で言い表すならば正真正銘の“胸糞映画”という事になるのでしょうかね。
最近、他者の映画の感想を知りたい時まず最初に観るのが映画サイトレビューよりもYou Tubeになっていて、本作を検索するとサムネイルに“胸糞映画”という文字が並んでていて、正にそう思わせる作品なんだと私も思いましたよ。
いや、こういう悲惨で残酷な光景や痛烈な社会批判の作品は今までにもたくさん見てきましたが、多くのそうした同系の作品とも違う嫌な肌感というか、どうしようもない嫌悪感を刺激させられる作品でもありました。
本来こういう作品は、メッセージとしてこうならない社会を目指し考えましょうというのが根底にあるのですが、本作の場合はそれがあまり感じられず、人間とは本質的にこういう生き物なんだという事を描いているようでした。
(私に)そう感じさせたことは作り手にとっては大成功なのでしょうが、見ている方は堪ったものではない。しかし、リアルから目をそらすなという方向性の作品であるのなら仕方ないですね。

まあ、世界を見渡すと映画の中で起きている様な出来事は山ほどあり、現状なんらかの方法で秩序が保たれている社会の人間からすると、この秩序はなんで保たれているのか?その方法または力とは何なのか?それはひょっとしたら非常に危ういバランスで保たれているのかも知れないし、本作を見ていると戦争(若しくは反乱、革命、暴動)が起きる必然性とか、それが起きた時の人間の本質であるとかリアルな姿を非常に冷徹に明確に端的に容赦なく描かれていて、全ての登場人物に対して、もし自分がその場に置かれても只々無力に絶望するだけという、全く救いのない作品なのです。
逆に言い換えると、様々な問題があろうとも今何らかの力で(たまたま)秩序が保たれている国の国民であることの幸運に感謝したくなるような作品でもありました。
また、本作を“胸糞映画”と言う事は、そもそも人間の存在そのものが胸糞であると言うのと同じであり、その点を考えさせる(伝える)映画だったのでしょうね。

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シューテツ

3.5ディストピア

2023年6月29日
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鑑賞方法:VOD

この監督はいつも救いがない。アイロニカルというわけではない。ただ突き放す。

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filmpelonpa

0.5今まで見た映画名の中で一番ひどい映画でした。 ただただひどい状況を...

2023年4月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

今まで見た映画名の中で一番ひどい映画でした。
ただただひどい状況を描いただけ。
主人公?たちの感情もなにも描かれていません。
救いがない系の映画にしても、ひどすぎます。
監督の一方的な考えにストーリーも主人公もただ振り回されているだけでした。

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やすたん

3.5激流

2023年3月20日
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なぜ生き残り、生き残れなかったのかにさしたる差はない。ただ人を飲みさらっていく。アクトオブキリングを思い出す。

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Kj

4.5ハードボイルドだど!

2023年2月12日
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メヒーコの近未来に起こり得る民衆暴動と軍による鎮圧の暴虐ぶりを最初から最後まで緩むことなくヒリヒリさせながら描き切った傑作映画だったわ🤯この人マジでハードボイルドな監督さんネ
日本には起こらないって誰が言い切れるのか?

ブレない演出にオイラから星⭐️⭐️⭐️⭐️✨捧げます!

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あさちゃん

3.5内戦に巻き込まれる恐怖

2023年2月8日
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普通に考えると内戦起こったから脱出するまでを描くハラハラサスペンスなのかなって思ったら大間違いで
 理不尽に淡々と殺される
主人公も相当酷い目にあって 罪の無い人が絞首刑になったり 無限に地獄を見せつけられます
 エンタメ性ゼロで笑うシーンもアクションシーンも無いけど リアルはこんな感じなんだろうなって思うので
 下手なホラー映画より怖い内容で 後味悪いグランプリ2022のダントツ1位でした!

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お主ナトゥはご存じか!

3.5怖い。。

2023年1月3日
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お正月はハッピーな映画やアニメばかり観ていたので、脳にガツンと衝撃!ハッピーな映画だけが良い映画ではないことを思い知らされました。
華やかな結婚式から急転直下、まさに転げ落ちるような悲惨な展開。始終、自分だったら?と思わずにいられない状況でした。
日本もこのまま貧しくなり続けたらこんな日が来るかも?とても考えさせられ、強烈な印象に残る作品でした!

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tomoboop

4.0明日かもしれない物語

2022年12月31日
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鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

結婚式が無事にとり行われ、マリアンは幸せの絶頂にいた。
そんな時、かつての使用人の男ロランドが結婚式にやってくる。
彼は病気の妻の手術費用が高額のため、マリアンたちにお金を借りたいと頼ってきたのだ。
彼女は必死に解決策を探すが、家族たち全くは取り合ってくれない。
時を同じくして、街では低所得者たちが突如反乱を起こし始めていた。
そして、その地獄は富裕層が集まるマリアンの結婚式会場にまで忍び寄っていた。

目を背けたくなるような現実の映画。
ただし、せめて映画の中だけでもしっかり直視しなければならない。
社会に根強く存在している目に見えないヒエラルキー。
その均衡の崩壊は今すぐにでも起こる可能性があるし、映画内の地獄のような惨状は今も世界のどこかで起きている真実だ。
緑の塗料が社会組織の危うさや脆さを鮮明に色付ける。
きっともう現実は水道水が緑になるレベルまで達しているはずだ。

特に印象的だったのが、敵も味方もないというところ。
はじめは貧困層の富裕層に対する反乱だったのだが、それをすぐに治めた軍隊が今度は覇権を握る。
秩序を守るものが壊れたら元には戻れない。
金のために金持ちを誘拐して拷問にかけ身代金を要求する。
そして金のない一般市民には罪をなすりつけ微塵の遠慮もなく殺す。
軍部がクーデターを起こし…という事象は日本でも起きているようにものすごく身近だ。
これは軍などに問題があるというよりは社会のシステムの問題。
平和ボケしている現代の日本人こそ観るべき作品だと思った。

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唐揚げ

5.0 圧倒的なリアリティだった。説明が全く無いので、ある程度の背景知識...

2022年12月24日
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 圧倒的なリアリティだった。説明が全く無いので、ある程度の背景知識がないと難しいけれど、本当にムカつく映画だった。メキシコの貧富の酷さとそれに基づく対立や憎しみは画面から伝わって来たけれど、秩序を手にする奴らの卑劣さも描かれていて、さらにはすべてをもみ消そうとする軍上層部の権力。権力というものの象徴のような映画。

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えみり

3.0ある視点

2022年10月9日
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日本映画界では鬼才や天才は、監督の技量のなさを弁解する言葉になっている。

とりわけマーケティングにおいてはぜんぜんダメな映画さえも鬼才(or天才)などと喧伝される。

鬼才や天才と定義しておけば、観衆にウケなくても、興行にしっぱいしても、おともだちの旬報にしか褒められなくても、また、たとえつたないだけでも「鬼才(or天才)なので解る人にしか解らない」と弁解することができるからだ。

で、いつのまにか日本映画界は“鬼才”と“天才”だらけになった。

したがって今や鬼才や天才が本来持っている意味にズレが生じているが、鬼才とはがんらい一風変わったorエキセントリックな作風に与えられる冠だった。

本作のミシェルフランコ監督は一応本来的な意味での鬼才と言えるが、かえりみるとかつては鬼才と呼べる映画監督が多かった。ズラウスキー、ハネケ、マカヴェイエフ、オルミ、ベーラ、マリック、チミノ、ギリアム、ラッセル、リンチ、ホドロフスキー、トリアー・・・。いや、それどころか旧時代の代表的な映画監督はみんな鬼才だった。ベルイマン、フェリーニ、キューブリック、ベルトルッチ、タルコフスキー、ゴダール、パゾリーニ、アンゲロプロス、ヴィスコンティ、アントニオーニ、レネ、フランケンハイマー、ヒューストン、小津安二郎、大島渚・・・。

思えば昔は変な映画がたくさんあり、その“変”が、けっして伊達ではなかった。
鬼才で辞書をひくと『人間とは思われないほどのすぐれた才能。また、その持主。』と出てくる。じっさいに昔はその意味で使われていた。
(鬼才を無能な監督の代名詞にしたのは日本映画界とマスコミです。)

だんだん映画のフォーマットが普遍性を帯び、妙な感覚の作品が淘汰され、ウェスアンダーソンみたいな独自の世界を持っている映画は今やほんとに少数派になった。
(ちなみに日本映画界では技量のつたなさを“妙な感覚”にトランスフォームして“鬼才”と呼んでいます。)

ミシェルフランコは深田晃司やBrady Corbetに似ている。とくに深田晃司監督によく似ている。作風を形容するなら“神経逆撫で系”。トリアーの後継者──という感じがする。

とはいえミシェルフランコの“鬼才”にも疑わしさ──はある。
たとえば前述した偉大な先達たちの“鬼才”は力量が解りすぎるほどわかる。しかしミシェルフランコや深田晃司の“鬼才”はなんか怪しい、危なっかしい。偶発か、あるいはポーズ(建前)のように見えてしまうことがあるし、盛ってる感(過剰さ)もある。

──

すごく衝撃的な映画。経済困窮者たちが金持ちを襲い、それを鎮圧する目的で新体制が布かれる。が、じつはぜんぶが仕組まれたストーリーをたどるクーデターになっている。人もばんばんころされ扇情的だった。

VOD(U-NEXT)の概説には──
『社会派監督、ミシェル・フランコが、経済格差がもたらす社会秩序の崩壊を圧倒的なリアリティで描いた衝撃作。秩序を塗り替えるかのように全てを染める緑色の塗料が印象的。』
──とあったが、まずミシェルフランコ監督は(まったく)社会派ではないし、リアルと言うより過剰な印象。

過剰さはときとして鬼才とイコールになる。
で、過剰と鬼才がイコールになっている監督はうさんくさい。
わかりやすい例をあげると(日本を代表する映画監督の)園子温。あるいは(日本を代表する映画監督の)蜷川実花。
つまり「過激な描写をすることで鬼才感を出してくる監督」はうさんくさい──わけである。

前述した偉大な先達は真の意味で鬼才といえるけれど、すこしも過剰(or過激)な作風ではなかった。そもそも過激と鬼才はイコールで結ばれることのないものだ。それが現代の“鬼才”にたいする懐疑心につながってくる。ミシェルフランコ監督は園子温よりははるかに本質的な“鬼才”だが、(本作ニューオーダーの)鮮やかな緑色のビジュアルとテロを合わせてアート値とメッセージ性を併せ持たせました感は(わたしには)うさんくさすぎた。

とはいえミシェルフランコ監督にはなんかありそうな気配がある。父の秘密(2012)も母という名の女(2017)もカンヌで「ある視点」部門賞をとっているが、たしかになんか「ある視点」がありそうな映画を撮る人だ。たしかに一定の見ごたえはある。

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津次郎