劇場公開日 2020年8月28日

  • 予告編を見る

「コレを観ればアカデミー賞の音響部門への興味が倍増!」ようこそ映画音響の世界へ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0コレを観ればアカデミー賞の音響部門への興味が倍増!

2020年9月30日
PCから投稿

音響効果スタッフとして経験を積んだ監督が、ハリウッド業界人の協力を得て、映画音響の歴史と魅力を伝えてくれるドキュメンタリー。ハリウッドでも70年代まで映画のサウンドトラックがモノラルだったという話に驚いたが、とにかく普段はあまり意識されることのない映画音響の入門編として、最高の入口になってくれる。

音響の効果を伝えるために、映画館の音響設備を前提に作られているので、5.1chのホームシアターが用意できないなら、映画館で鑑賞するのがマストだろう。どこでも上映しているような作品ではないので、近場の映画館でやっていたらすぐにでも飛び込んだ方がいい。

ただドキュメンタリーとしては不満もある。入門編としての役割に重きを置いているからか、広範な音響の役割を総ざらいしようとしたせいか、もっともっとマニアックに掘って欲しいと思ってしまう要素がサラッと処理されてしまう。その代わりに音響スタッフたちが仕事のやり甲斐を語り、感動的に盛り上げたりもするのだが、仕事そのものが充分に感動的なので、テクニカルな部分こそ、さらに深層まで知りたいと思ってしまう。

まあ、掘り始めたらキリがないのとは思うので、第二弾、第三弾もぜひ作って欲しいところ。さすがにマニアック過ぎて望み薄かも知れませんが。

村山章