劇場公開日 2020年8月28日

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「これから映画業界を志す人にも」ようこそ映画音響の世界へ 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これから映画業界を志す人にも

2020年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

知的

自室に5.1chのスピーカーを組んでいるサラウンド好きとしては、喝采を送りたくなる好企画。「百聞は一見に如かず」の諺どおり視覚の情報量は聴覚のそれを凌駕するため、映画はえてして映像面が注目を集め熱く語られがちだが、音響が観客に与える効果も実に重要であることを、名作・話題作からのシーンを多数例示しながら解き明かしていく。

60年代のビートルズのレコーディングにおける実験精神が映画音響にも影響したこと、「スター誕生」で主演のバーブラ・ストライサンドがステレオ上映を熱望して実現したこと、コッポラ監督が日本のシンセ奏者・冨田勲のマルチチャンネル録音アルバムに衝撃を受けて「地獄の黙示録」をを5.1chサラウンドにしたことなど、興味深いエピソードの数々と共に映画音響の歴史も語られる。登場する音響編集者たちも皆いい顔をしていて、音響に限らずこれから映画業界で働きたい若手にも大いに刺激になりそうだ。

高森 郁哉