劇場公開日 2020年8月22日

  • 予告編を見る

「Social Inclusion(社会的包摂)をまなぶ、良質なtextbook」Challenged チャレンジド h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5Social Inclusion(社会的包摂)をまなぶ、良質なtextbook

2020年9月21日
iPhoneアプリから投稿

生産性や効率化が最優先される社会ではSosial exclusion(社会的排除/隔離)が叫ばれ、障がい者や高齢者、外国人は社会からはじき出される。

高度経済成長期の日本でもみられたが、社会が成熟後退する現代の日本にも、ふたたび不寛容な風が吹きはじめている。やまゆり園での殺傷事件と、その加害者の行動に賛同する声がネットで出ていたことはその典型。

そんな退廃的な社会の空気のなかで、一縷の希望を抱かせてくれる作品。

冒頭の瑞宝太鼓のパフォーマンスは圧巻。
ハンディキャップを意識させないレベルの高いプロフェッショナルな演奏に魂を揺さぶられる。

ヨーロッパでの支援施設の取り組みや障がい者の活動や思いが日本のメディアに出ることがないため、本作でのさまざまなな取り組みの紹介はとても参考になる。

政府が障がいのある人をどう支援するかではなく、区別されることなく共生できる社会。
みんなが相違点を認め合い、一人ひとりの個性が活かされる社会。

そんな社会のあり方を国や政府に求めるのでなく、個人やコミュニティでできることはあることを認識させてくれる。

atsushi