劇場公開日 2020年10月9日

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「やっと観れた、観られて良かった、幸せ」本気のしるし 劇場版 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0やっと観れた、観られて良かった、幸せ

2021年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

見逃してた作品。イメージフォーラムさんありがとうございます。上映していただいて。
ドラマ観てないし原作も読んでない、完全に初見で鑑賞です。
いやぁ、昨年観てたら邦画ベストだったなぁ。

あのー、・・・泣きました。泣いちゃった。休憩挟んで後半、展開が変わってからラスト、奇跡を願いました。心から願ってました。なんだよー、これ、なんなんだよー。もーーー。
完全なる恋愛映画じゃん!本当の気持ちを、不器用にもがきながら見つけていく話じゃん!
参ったなー。甘かったなー。こんなに気持ちがかき乱されるとは。4時間あっという間。けど途切れない緊張感と変わっていく登場人物への想い。なんなんだよーーー、すげーじゃんよー。

最初っからずーっとムカムカが止まらないんです。辻さんにも、浮世さんにも。イライラするんです。比率でいうと浮世さん向けのイライラが多いんですが(笑)
辻さんのクズっぷりもいいです。とっても。最初っからクズとイライラ娘全開です。

それが・・・それがですよ。
変わっていくんです、僕の気持ちが。
作品内で登場人物が徐々に「本当の気持ち」「本気」に近づいていくたびに、自分の気持ちに素直に従い、その結果から逃げないようになるたびに・・・・。
あんなに嫌いだったのに・・・お前たちは地獄に落ちてしまえ!って思ってたのに、最後は祈ったのです、奇跡を。

もーーー困ります。こんなすごいの作られちゃったら。
原作の星里先生すごい、脚本すごい、監督すごい、演者すごい!すごいっすーーー。

お話はどこまで原作に忠実なのか?はさっぱりわかりませんが、きっと演出的な部分は映画の脚本なんでしょうね。。
自分が取った行動やセリフがブーメランのように、その時の相手から自分に返ってきたり、その逆があったり。これがすごく良いです。双方の気持ちの温度の違いが明確にわかります。また、男女が追いかける方と追いかけられる側が入れ替わるシーン演出あたりも秀逸です。

お互いが同時に歩み寄る恋愛なんかないです。おそらく。自分の気持ちに気づくかどうか?も危く、お互いが同時に自分の本当の気持ちに気づくなんてないと思います。
追いかけ、追いかけられて、心がぐしゃぐしゃになりながら進むんですよね。信じたり、信じられなくなったり、狂おしいほど求めたり、2度と会いたくなくなったり。
本気だからそうなっちゃうんですよね。あぁ辛い。で、ラストシーンが良いです。最終的な答えを出し切ってないところが。余韻がまた美味しいです、最高。

僕はドラマ版を観たことがありません。けど、演出面を考えると今回の劇場版で一気見の方が良いと思います。演出面、ストーリーでの伏線回収がかなり効いています。良く練っているんじゃないかなぁ?

演者さん素晴らしかったです。森崎さん、土村さん、見事でした。
特に土村さん、素晴らしい。私、不覚にも映画見ながら土村さん演じる浮世にオチました(笑)
あんな女性いたら、一発でやられますよ。。間違いなく。ファミレスでのビール&笑顔でもっていかれました。そんな女性を演じるって凄くないですか?
それと本作のキーマンが北村さん。ナイスなキャスティングです。説得力あるわぁ。
もう、狂言回し的な立ち位置で、ほとんど神ですよ。
男と女の地獄を見る事が好きな彼(脇田)が、「もう会う事はない」と言うってことは?みたいな粋なセリフ言ってくれるし。地獄と天国を決める番人でしたね。
何やかんや言っても、脇田が一番人間臭かった気がします。ラストを迎えるまでの登場人物たちは表面的に、曖昧に、体裁整える気持ち悪い人たちばかり。  だからドラマになるんですけどね。

うだうだ書きましたが、これは傑作です。
最後にもう一回。4時間なんて全然気になりません!

バリカタ