劇場公開日 2020年7月24日

  • 予告編を見る

「監督の次回作にも期待します」クシナ CBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5監督の次回作にも期待します

2021年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

友人の友人(速水監督)が監督したこの映画。ようやく観られる運びとなって、嬉しい限り。ジャック&ベティ、上映してくれてありがとう!

女だけの山奥の村に、村を探し当てた男女がたどりつくことで、村の女たちの関係性が変化していく話。

主人公というか語り部である蒼子が、冒頭で人類学について語る、 「閉鎖的なコミュニティには美しさがある。小さな集団には、根付いた信仰があり、美しいと思う瞬間がある。それを見たい。もし自分がそれを持っていたとしても、自分には見えないものだから」 という言葉が、本作のテーマを示すものなのだろうが、この言葉の意味は観てみなければわからないし、自分は観ても腹落ちするところまではたどりつけなかった。残念。俺は、まだまだ未熟だ。

ただ、荒廃した村を丁寧に映していく序盤で、「光り輝く自然を撮る」 という気持ちと技術が伝わってくる。また、自然の中で、日々の暮らしを和服で暮らす現代の女性たちという取り合わせも、幻想的で、とてもきれい。

「相手の髪を編む」 という行為に秘められた、相手への愛情の表現もいかしてる。(って死語か?)

蒼子に 「わが娘(クシナ)を連れて行ってくれ」 と頼む、クシナの母カグウ。 「共同体からは出さない」 というオーラを放つオニクマとカグウも、関係的に母娘的な位置にいる。それらの関係の中から、カグウが一歩踏み出した、という話なのかなあ。パンフ買って読んだけれど、いまだ自信なし。

実際の美しい自然の絵と和装を重ね合わせて、幻想的に撮る監督の力量は、今後もぜひ観たい。なので、できればもう少しだけ観客に(というか俺に)やさしい脚本で観させてもらえないだろうか、と今後を期待する。

きれいな映画だった。

CB