劇場公開日 2020年7月3日

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「映画ファンには、多幸感を運んでくれる良作だが、気になるところも」レイニーデイ・イン・ニューヨーク ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画ファンには、多幸感を運んでくれる良作だが、気になるところも

2020年8月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ニューヨークを舞台に大学生カップルの恋模様を、脚本を兼ねる名匠アレン監督が、熟練した名調子で演出しているので、安心して観ることが出来る。

とにかく発端から終わりまで、何時ものアレン節が堪能出来て多くの映画ファンには、多幸感を運んでくれる良作だと思う。

皮肉屋でオシャベリで少し猫背気味なアレンをトレースしたキャラを、シャラメ君が軽やかに演じて、チョットしたドタバタも板に付いた好演。

相手役のエル・ファニングのピュアな雰囲気漂わせなが、すれ違い経て流れていく感じや、元彼女の妹で、反目しながら惹かれ合うセレーナ・ゴメスなどの女性陣も魅力的。

チョット気になるのは、予算や時間の都合もあるかもしれないが、冒頭のアリゾナのキャンパス屋外での夕景の照明の半端な当て方やニューヨークを車で移動する際の会話場面での窓からの照明効果が、如何にも同じ場所を往復して撮影してますのワンパターンで、低予算とは言え、名撮影監督ビットリオ・ストラーロ氏の老い感じる。
前者はポスプロなどで色調を追加するなどで、それなりに修正可能なはず。

それ以外には、スマホが普及している現在なのに、通話以外機能の主要機能であるメールやSNSを全く使わないのは、普遍性を考えると不自然だと思う。
重箱のすみをつつく様だが、同時期に観た『WAVES ウェイブス』や『ハーフ・オブ・イット お楽しみはこれからだ』などと比較すると、移り変わる世情を無視している様に感じるからだ。

それと長いこと作品の人物に人種的な広がりを、未だに見せないのは、どうなんだと思う。アレンの今の奥さんは東洋人なのに。

でもこの映画もアレンの幾つかの過去作も好きですが。

ミラーズ