劇場公開日 2020年11月13日

  • 予告編を見る

「ラブホが建って、やがて朽ちる(原作を再読してみたけれど)」ホテルローヤル 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ラブホが建って、やがて朽ちる(原作を再読してみたけれど)

2022年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2020年監督:武正晴。原作:桜木紫乃。

原作が家にあったので観賞後すぐ読み返してみた。
原作はとても心に響いた。
映画はほぼ原作と同じ展開。
雅代(波瑠)の誕生とともに生まれた「ホテルローヤル」が30年を経て幕を閉じて、
何年後かに朽ち果てた廃ホテルとして、若いカップルの投稿エロ写真の撮影場所として、
映画は始まるのだ。
なのだが、原作と違い登場する人間の生々しさ、生臭い部分が
マイルドになっている。
その点が物足りなさとつながる。

女子高生と心中する高校教師・・・生徒とセンセイ、あんた何やってんの?
とは、ならないのだ。
人生に絶望して死を選ぶ理由がちゃんとある。
女子高生のまりあは、親が借金を作り失踪して帰る場所がない。
教師は美人妻が校長の愛人を18歳から10年も続けていて、連休に札幌のマンションに帰ったら、妻が校長を家に招き入れる現場を目撃してしまう。
木古内→函館→札幌そして釧路と道行があって・・・
チャラい教師と馬鹿な教え子まりあ、と一括りに出来ない、納得できる心中の理由を語られている。

エッチ屋の宮川(松山ケンイチ)にも、市役所をしくじった過去がある。
市役所の上司の妻を寝とったのだ。
この辺は全く語られない。
宮川もタダのエッチ屋の真面目セールスマンではない。
パートのミコちゃん(余貴美子)には働かない精力絶倫の夫がいて、ただただ働くだけの
ミコちゃんの存在はなんだか無性に悲しい。

ひとり娘雅代(波瑠)も、見せ場の少ないつくづく損な主役だと思う。
見せ場の宮川に迫るシーンも、Gパンの下着が白い木綿の長いスリップ・・・とはねー!!

釧路湿原がパーっと映るファーストシーン。
雅代の部屋からいつも眺める窓から、丹頂鶴も姿を見せる。
釧路の和商市場や幣舞橋(ぬさまいばし)と観光名所もしっかり映し出されます。

ただし「ホテルローヤル」の室内セットは、札幌の紅桜公園の今は使われてない結婚式場に作られたそうだ。
地元テレビ局が特集してましたが、我が家から近いのも、何かのご縁でしょう(笑)

原作者の桜木紫乃さんは美人でサバサバしたとても素敵な人。
原作のバター風味がマーガリン風味に変わったような変換と、映画のパワー不足に
やや不満ですねー。

過去鑑賞

琥珀糖
満塁本塁打さんのコメント
2023年3月18日

釧路は良いですねぇ、昔、小樽地区に住んでいました。ニセコも馴染みです。帯広と釧路行ってみたい。😊

満塁本塁打