劇場公開日 2021年10月23日

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「闇に堕ちるように悩んだからこそ見えた景色、これからも気になる監督」彼女はひとり たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5闇に堕ちるように悩んだからこそ見えた景色、これからも気になる監督

2021年11月5日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

田辺弁慶の時からずーっと気になっていて、『本気のしるし』でも怪演がハマっていた福永朱梨さんの主演で観ることを決めた本作。修了作品と侮るなかれ、尻上がりに面白くなっていくようで面白かった。中川奈月監督と福永朱梨さんの舞台挨拶の話も交えながら記していく。

凄くタイトル以上に「孤独」を突きつけてきて、この60分、次第に目が離せなくなった。序盤は単なる脅しと脅されの関係だと思っていたのに、その言葉と過去が言葉によって紡がれていく。次第に忍び寄る秘密と逃げられない過去が一気にまくし立てていく。そうして、単なるホラーではない、心の痛みに深く染み入ってくるような感覚に鋭さを感じる。

監督の話によると、修了作品として1本は作らなければならなかったのだが、なかなか描けなかったという。その時に抱えた孤独が彼女のイメージを作ってくれたという。また、本作が初長編、初主演となった福永朱梨さんも自由にやらせてもらえたと言うように、魅力的な演技が印象的。キャラクターとして絶妙な雰囲気を醸し出しながら、孤独とホラーのバランスが効いていて面白かった。

舞台挨拶では感極まっていた中川奈月監督。なかなか生まれない中で広げられた世界だからこそ見えた景色。今後も注目したい。

たいよーさん。