劇場公開日 2020年9月18日

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「「What's Going On」の素晴らしい和訳だけども必見」メイキング・オブ・モータウン kizkizさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「What's Going On」の素晴らしい和訳だけども必見

2020年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ジャンルやアーティストよりモータウンという”会社”の話。
創業者ベリー・ゴーディが、前職の自動車ラインのノウハウをどう音楽ビジネスに落とし込んだかが面白い。
そしてミュージシャン達は人間ゆえにラインから逸脱する様子も興味深い。

ベリー・ゴーディと相棒のスモーキー・ロビンソンの証言を中心に進むのだけど、この二人が元気ですごい。
豪快に笑って、たまに鋭い眼光を見せる。急に100ドルの賭けをする場面も;
力強く喋ってたベリーは今年91歳だとか。信じられん!

ジャクソン5、スティビーワンダー、テンプテーションズ、スプリームス……モータウンという小さな場所にこんなにも才能が集まった奇跡に胸アツ。
小さいレーベルがポップスを圧巻していく物語はワクワクする。

と同時に黒人への強い差別の中を生きてきた音楽の物語でもある
いくつものリアル・グリーンブックなエピソードを生きている人達が語っている事実に息を飲んだ。ほんの少し前のことなんや。

差別に対しての色んな思惑が語られるなか、流れるマービン・ゲイの「What's Going On」に胸を掴まれる。
ここでの日本語訳がまた素晴らしい。必見です。

ひとつ注意なのが、歌唱/演奏シーンはやや少なめ。そこを期待するとちょい肩透かしを食うかも。
でも最初期のジャクソン5や16歳のスティビーワンダーなどレアな映像はいっぱい。
子供時代のスティビーワンダーのライブ映像には震えた。
まさに天才ですね……。

演奏映像でのカタルシスは少ないけど、ポップ史に名を残す名レーベルの物語には興味しかなかったです。
音楽は時代/社会とともにあるのだなぁと実感。
奇跡みたいなめぐり合わせが作った音楽が人を世界を救うのだとも。

kizkiz