劇場公開日 2020年6月26日

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「KKKはもっと怖い。多分。ネオナチはもっとチンピラ。多分。」SKIN スキン bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0KKKはもっと怖い。多分。ネオナチはもっとチンピラ。多分。

2020年10月1日
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鑑賞方法:映画館

ショートフィルムの方のイメージが強かったので、ちょっと意外な展開だった。と。気のせいか、最近、欧州的なやぁ、と感じる作品に高頻度でぶち当たってる感じ。この映画も、入れ墨消去施術のシーンを挿入しつつ、美化無しのリアリズム追及を感じさせる演出は、ものすごく「欧州」な感じです。

あんまり言いたくはないんですが。「レイシズム」「レイシスト」と言う言葉が、悪用・乱用されている日本で。更に言うと、ファシズムもリベラルもメディア率先で誤用される日本で。「くたばれレイシズム」って口にするのが憚られるんですよねw

なんで、そこは置いといて。

ショートフィルムのSKINは肌の色?長編のSKINは「剃った頭」でレイシストを象徴してる?趣向も違うし、同タイトルで、同テーマを根底に置きながら、二つの違う物語を撮ったんだ、って思いました。

終始重苦しくシリアスな空気感。白人至上主義者が組織するファミリーと言う名のマフィア的縦社会の描写。底辺感を漂わせる登場人物たちのリアルな生活描写。どれもこれも好き。ベロチュー場面は、ちょっとパスしたかったけど。

底辺に居る者たちが、更に誰かを見下し、直接的な暴力的手段に走る。もともとKKKは白人上流社会の組織であり、手段系もクールで、より残虐ですが。もう、目を覆いたくなるような集会風景。と言うか。こいつら、ただの野蛮人じゃん!

とにもかくにも。白人至上主義の暴力性に対する批判、と言う分かりやすく一般受けもする社会ネタ。美男美女で描かれていないところが、奇妙なリアリズムを醸し出していて、良い具合に辛かったです。

主演のジェイミー・ベルは「ロケットマン」のバーニー。デジレ役のゾーイ・コレットは「スケアリーストーリー」の主役のメガネっ子。その他、役者さん的にも好きなメンツが揃ってて、ここも見ごたえの一つでした。

という事で。
辛かったけど、見ごたえのある映画でした。とっても。

冒頭のショートフィルムの出来は、噂通りに最高でした。

bloodtrail