配信開始日 2020年6月18日

「既視感」泣きたい私は猫をかぶる コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5既視感

2020年6月25日
PCから投稿

手描きと3DCGを融合させた、奥行きあり、様々な動きに快感がある作画。
ジブリ出身の作画監督・横田氏の女の子の表情と猫の動きはとくにいい。
名匠・佐藤順一監督と、こちらもジブリ出身の柴山智隆監督のコンテ、演出により、テンポのいい場面が続く。

志田未来と花江夏樹の声も心地よい。

そして……それらを全て破壊するセリフの絨毯爆撃。

主人公はもちろん、ここに出てくる人々は大人たちも含め、誰もが自分のことしか考えておらず、居心地の悪い世界に生きて機嫌が悪く、思い通りにならず悔やみ、自分の居場所を探してフラフラしている。
経済も人間関係も八方塞がりな今の中学生〜大学生(または20代)の世代が感じている憤りを反映した設定なのは理解できるが、陰鬱すぎるのと、さらに彼らが何を感じているか、何に今困っているのか、気持ちまで説明セリフなのがきつい。
喋り過ぎキャラばかりの世界。

そして、恋愛は理屈じゃないとはいえ、主人公がなぜ日の出くんに惚れているのか、男キャラの魅力がわからない。
「感じさせる」表現が少ないからだ。
せいぜい、家が嫌いで入るのに気合が要る、というのと告白のところくらいか。

また、表面上は『耳をすませば』『猫の恩返し』パスティーシュに、『鎌倉ものがたり』『ユンカース・カム・ヒア』『君の名は。』の切り貼りのような世界。
着地点含めて、「どっかでみたな」というパターン踏襲に過ぎず、既視感の嵐。

いや、私がスレたおじさん過ぎて、新しい表現になじめず、対象年齢じゃないのかも?
素直に恋愛ファンタジーを楽しめる世代には、お勧めします。

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コージィ日本犬