劇場公開日 2020年10月16日

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「2014年に起きた実在の中国の医療事件を元に描き、中国で興行収入500億円の大ヒットをし賞レースも席捲した作品。」薬の神じゃない! 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.02014年に起きた実在の中国の医療事件を元に描き、中国で興行収入500億円の大ヒットをし賞レースも席捲した作品。

2020年10月18日
PCから投稿

本作は2014年に中国で実際に起きた「血液のがん」である「慢性骨髄性白血病」をめぐる中国の医療問題に切り込んだ社会派エンターテインメント作品です。
主人公は、上海でインドの強壮剤を販売している店主ですが、利益も出せず苦しい生活を送っています。
そんな彼のもとに「慢性骨髄性白血病」に苦しむ男性が訪れ、「中国で認可されている正規の薬は値段が高すぎて治療を続けるのが困難で、インドで製造・販売されているジェネリック医薬品を入手したい」と密輸の依頼を持ち掛けます。
あまりにリスクが大きすぎるため一度は断るのですが、主人公は父親の手術費も払えなくなり、遂に安価で買える「慢性骨髄性白血病」のインドのジェネリック医薬品の密輸に乗り出します。
最初は、あまりに違いすぎる価格差によって安価で売却しても利益は出ましたが、中国の警察が本格的に動き出し、リスクがどんどん高まっていきます。
そして、密告の脅しまで出て、逮捕される前に辞めようと決意します。
ただ、同時に主人公は、いつ誰が罹ってもおかしくない「慢性骨髄性白血病」の医療問題の現実に直視せざるを得なくなるわけです。
果たして、最終的に主人公がとった行動とは?

本作は2018年の金馬奨で作品賞、脚本賞、主演男優賞、新人監督賞、助演男優賞などにノミネートされ、見事に脚本賞、主演男優賞、新人監督賞を受賞しています。
中国や日本の医療問題を考える上でも見ておきたい名作だと思います。
残念なのは、公開規模が日本では非常に少ないという現実です。見られる人は是非見てみてください。

細野真宏