劇場公開日 2022年4月8日

  • 予告編を見る

「笑えるシーンもあるなど前作よりは出来は良いが、まだ内容に唐突な面は残る。とは言え、終わり良ければOKか?」ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0笑えるシーンもあるなど前作よりは出来は良いが、まだ内容に唐突な面は残る。とは言え、終わり良ければOKか?

2022年4月8日
PCから投稿

タイトルは「ダンブルドアの秘密」ですが、タイトルにするほど大きな秘密なのかは、見る人によって分かれるでしょう。
「ファンタスティック・ビースト」シリーズは、第1弾の際は“イントロ的な内容”で、登場人物の紹介と楽しい魔法の世界観や恋愛模様などを描くことができていて普通に良かったと思います。
ただ、第2弾の際は、原作者J・K・ローリングが、映像とダイレクトにリンクしないといけない「映画の脚本」を担当していたのが悪い面として出てきました。
「黒い魔法使い(グリンデルバルド)の誕生」という題名のため物語がダークで、内容を詰め込み過ぎている面もあり、映画としては入り込みにくくなっていました。
その反省もあり、本作では脚本をJ・K・ローリングだけに任せることをせず、映画「ハリー・ポッター」シリーズで7作品の脚本家を務めたスティーブ・クローヴスが「共同脚本家」として参加することになりました。それが機能し、本作は第2弾よりは良くなっています。
ただ、内容を詰め込み過ぎる面はまだ残り、唐突な展開も少なくなく改善の余地はあります。
しかも本作の内容は、さらに深く凝っているため、これまでの登場人物や背景などをキチンと予習しているかどうかで、楽しめるかどうかが大きく分かれる作りとなっています。
さらには、物語が「かく乱」を1つのテーマにしているからか、割と断片的な構成が目につき、途中は、何をやっているのかが分かりにくかったり、「ツッコミどころ」もあったりします。
このように、「ファン愛」を試すような作品になっている面はありますが、第2弾との明確な違いは、最後まで見ていれば、ラストシーンが第1弾の時のように良い終わり方をしているので、最終的には「心地良い」と感じる点でしょうか。
映画は、ラストで感想が分かれる場合が多いため、最終的にはポジティブな印象を持つ結果になる構造になっていると感じます。
課題を残しつつも本作の段階で、シリーズの大枠は描き切れたため、予定されている残り2作では、さらに見やすく出来の良い作品になることを期待したいと思います。
ちなみに(諸事情で)グリンデルバルド役が前作までのジョニー・デップからマッツ・ミケルセンに代わりましたが、これはキチンと事前に知っていれば問題ないですし、私はマッツ・ミケルセンの方がダンブルドア(ジュード・ロウ)の相手役にはピッタリなイメージでした。

コメントする
細野真宏